2007年9月24日月曜日

OLPCの新しいマーケティング


面白い試みです。OLPCラップトップ(XOラップトップ)がまもなくアメリカで発売になり、クリスマスに向けて「1つ買うと、1つ寄付」というキャンペーンをうつようです。
売価は400ドル。ちょっと高い気がするのですが・・・
REDのように売価の何%が寄付されるというスタイルの方がマスには受け入れられやすい気がするのです。
でもチャリティが一般的な米国でのこと。成功するのかもしれません。
11月に応募をしてクリスマスに間に合う形で出荷されるということです。

REDがユニセフの募金のようなものなら、このキャンペーンはフォスターチャイルドのようなものだと思うのですがだったらそれなりのNGOとタイアップしてやる。つまり、あとで「この子にあなたの寄付したXOはあげました。」とフォローして、その子から寄付主にメールが届くとか、そういう仕掛けがあれば成功する気がする。

そういうことを見てもネグロポンテ氏とそのスタッフは人をネットワークすることがあまり得意ではない気がします。

2007年9月23日日曜日

パリでMacを買うには?


パリはアメリカやロンドン、日本と違いApple Storeがありません。Apple Expoがほぼ毎年パリで開催されることを思うと不思議な気がするのですが、確かに大昔System7くらいの頃に比べたらフランスでのMacのシェアはガタ落ちになったのかもしれません。
ということで、今までパリでMacを扱っている店(通販ではなく)はポンピドーセンターの裏にあるIC Computerと市役所のBHVの中のMacショップ、それにオペラの裏手にあるMacwayくらいしかありませんでした。
しかし去る6月末にFnacのストアinストアのかたちで大きなアップルショップができたようです。
場所は左岸のカルチエラタンのサンジェルマン大通りのFnacです。まだ行ってないので一体どれほどアップルストアらしさがあるのかは不明ですが、実機がほとんどないMacwayや実機はあっても店員が全然フレンドリーでないBHVやIC Computerよりは期待できそうです。9to5Mac.comのレポートはこちら

2007年9月21日金曜日

OS戦争は携帯デバイスが舞台に

iPhoneの登場でOSのマーケットシェア戦争は携帯デバイスに舞台を移したようです。iPhoneに先行してLinuxを搭載した携帯デバイスも登場しています。さらに先行しているのはWindowsを搭載するスマートフォン。しかし、携帯デバイスの世界はPCより入り組んでいて、スマートフォンはSymbian OSというオープンソースのOSがかなりのシェアを持っています。日本のFOMA携帯はこのSymbianを搭載しているのが多いし、NOKIAやSONY-EricssonのスマートフォンもSymbianを搭載しています。
最近の噂でSONY-EricssonがWINベースに移行すると言われていますがこれはやはりiPhoneの影響なのでしょうか?それにしても、イージーな解決法って気がするのですがRollyといい、最近のSONYはおかしなことをするものです。私も携帯はSONY-Ericssonをここ5年ほど使っていますが、iPhoneが使えるようになったら乗り換えようと思っています。もしかしたら、同じような人が他にもいて、iPhoneがSONY-Ericssonのシェアを食っているのかもしれませんね。でもWinベースにしたらさらにユーザ離れが加速しそうな気がするのですが。
NOKIA携帯のWebブラウザはAppleのWebキットというAPIを使って作られているそうです。すでに水面下では携帯デバイスにおけるOSのシェア奪い合いがかなり前から始まっていたのでしょう。
アフリカではキャリアのサービスが限定されていてほとんどがプリペイド携帯ということもあり、通話以外のサービスとしてはSMSくらいしかありません。セネガルではMMSが最近開始されて、画像などを送ることが出来るようになりましたが、実際にはあまり使われていないと思います。こういう状態ではスマートフォンなんかは無用の長物なんですが。(笑)

2007年9月20日木曜日

OLPCは成功するのか?


最近、OLPCやネグロポンテ氏の話を聞きません。聞くのはOLPCの更なる値上げの話だけです。ついに188ドルに達したということでもしかしたら100ドルPCは200ドルに達してしまうのかもしれません。その間に台湾のメーカーがWinXPかLINUXを載せた小型のラップトップを200ドル以下で出すと発表したり、LINUXのサーバ+シンクライアントで構成される教育用のソリューションが発表されたりと、「低価格」「教育用」のPC市場はある意味で活気づいているようにも感じます。
OLPCは私のような素人が見てもまだまだ未完成な気がします。むしろOLPCの開発チームはOLPCハードとSugarUIにものすごい労力をかけていますがそれをトータルなソリューションにまで完成できてないのではないかと思います。もちろん、OLPCがなければ例の台湾メーカーも低価格ラップトップを出したかどうかわかりません。しかし、OLPCは汎用PCではないのです。マシン構成も特殊なら、ソフトの面でも特殊です。だからこそ、サーバおよびネットワークのトータルなソリューションとしてプレゼンテーションしていかなければならないはずですがそこが見えてこない。もしかしたら、このあたりはアップルやMSとさえ組んだ方がよかったのではないかと思われるほどです。
CYVOGUEにも時々子供達が来ます。子供は柔軟で操作を教えるとすぐ憶えてしまいます。さっさとネット上のゲームサイトに行って1人で遊んでいます。一番手のかかるのはいわゆる「ビジネス」ユーザで、彼らはワープロに画像が貼れないとかそういう下らない壁にすぐブチあたってしかも自分で解決できません。これは「しくみ」を理解してないからなのですが、子供の方がこういうしくみを理解するのは速いようです。
これを考えるとOLPCの成功のカギを握るのはやはりネットワークなのだと思います。学校レベルでのサーバソリューション(現存するようですがLinuxベースという以外あまりわかりません。)そしてそれらのネットワークがインターネットレベルでネットワークするそういうグローバルサービス(SNSみたいなもの?)が必須だと思うのですが、これはMITが考えているのかどうかもわかりません。

2007年9月18日火曜日

ベナンGSM -正常化


8月24日に「行き止まり」と書いたベナンGSM騒動ですが、先週Telecelが、そして去る土曜日にAreebaが復旧しベナンの通信事情は7月はじめの状態に戻りました。
決着としては企業側が国側の要求をすべて呑んだ形でついています。もちろん、これらの企業は正常に営業していれば数年後には必ず投資分を取り戻すことが出来るわけだし、マーケットや今までの投資を丸ごと失うよりは賢いという判断だと思います。
通話は復旧していますがSMSは届かないなど、まだ100%元通りというわけではありません。一度止めてしまったものを元通りにするのはそれほど容易なものではないのです。

結局サービス停止2ヶ月を行う、その損失の合計を考えると結局誰にとっても得でなかった今回の騒動、やはりアフリカでのビジネスの困難さだけが強調されてしまったような気がします。どう考え、また政府が今後やっきになってプロモーションを行ったとしても投資控えが起こるのはもう避けられない事態だと思います。数年単位で停滞することになると予想します。

2007年9月16日日曜日

iPod Touchの示唆するもの

iPod Touchはジワジワ来る。iPhoneは実際見て「欲しい」と思うよりもその美しさにむしろ感動した。しかしiPod Touchは素直に欲しいと思うようになった。もし、米国在住でキャリアの問題がないのなら、iPhoneを買うだろう。でも使えないのなら持っていても仕方がない。Appleの機械はそういうものである。

前の記事でiPod Touchは外面ほどにiPhoneに似ていないのではないかと書いたがこれは杞憂だったようでそれも嬉しい驚きである。iPod Touchのハードは実にiPhoneであるらしい。そしてソフトもほとんど変わらないようである。もちろん、電話機能という大きな違いやBluetoothが搭載されていない、そして液晶も微妙に違うらしいというマイナーな差がある。しかし一番大きな共通点、それはUI(ユーザインターフェイス)である。iPodのヒットはもちろん宣伝戦略の成功や製品そのもののハードとしての格好よさもあるが、なんと言ってもすごかったのはあのホイールで操作するユーザインターフェイスのおかげだと思う。初期型iPodのあのホイールとそれを囲む4つのボタンをXで区切ったデザインは今見ても斬新だし、それから何回かの変遷を得てたどりついたクリックホイールの操作性はまさしく秀逸。言ってみればiPodの心臓はこのクリックホイールによるUIなのである。iPod Touchはそれをあっさりと捨ててしまった。これはAppleがOS9をさっと捨ててOS Xに移行した時のことを思い出させる。つまりiPod TouchのUIはAppleがそれだけ自信を持っているものなのである。

そしてそのUIはもちろんiPhoneのUIである。iPhoneが戦略的なのはiPhoneがAppleの出したSmart Phoneだからではない。iPhoneはSmart Phoneではなく、あくまでもiPhoneなのである。ハードのデザイン、ソフトのデザインの統合としてのiPhoneは携帯電話ではなく、Appleの「コミュニケータ」としてのカタチなのだと思う。そしてiPod TouchはそのUIの流れを汲む新しいiPodのカタチなのだと思う。

2007年9月13日木曜日

マーケットシェア神話の崩壊


マーケットシェア神話とは、マーケットをある決まったサイズのケーキに見立て、それを中心から切り分けるような形にモデル化することによって産まれたものである。いかにその取り分を多くするか、そのパーセンテージがすべてとなる。しかし、このタイプのビジネスモデルは言ってみれば最初から自分たちの限界を自分で決めてしまうという欠点。そして資本主義社会の根本的規則である「独占禁止法」と対決する運命にあるという欠点を持っている。しかも、その発展がある程度で頭打ちになり、その後は衰退するしかないという運命すら決まっているのだ。マーケットシェア神話は例えば昔はVHS対Betaの構図で見られた。そして、VHSはマーケットシェアで世界を制し、Betaは消えていったがさらにその数年後、VHSもその地位を別メディアに奪われ、消えていく運命にあった。
今このVHSにあたるのがWindowsである。MSはVHSを牽引した松下よりもはるかに大きくマーケットシェアに依存している。MSのビジネスモデルはマーケットシェアが下がれば崩壊してしまうのだ。そして、現在のMSのOSにおけるシェアはすでに独占禁止法に抵触するほどで飽和状態。つまり成長は見込めない。
それと全く反対のビジネスモデルを持つのがアップルだ。Macのシェアは6%前後で特に伸びもしないが極端に下がりもしない。今、Macのマーケットシェアが下がるのを恐れているのはアップルではなくMSの方だろう。そうなればLinuxを応援でもしないかぎり、独占禁止法につきまとわれることになる。しかし、アップルの製品開発力とマーケットの牽引力はMSなどよりはるかに上を行く。コンピュータのハードおよびソフトだけでなく、ネットワーク機器、携帯音楽プレーヤ、そして携帯電話。それをとりまくコンテンツ配信事業。アップルは言ってみれば新しいケーキをいくつも作り出していくことで独占禁止法やマーケットシェアの欠点にとらわれないビジネスモデルを作り出した。そしてもちろんそれを支えているのが「ブランド力」であるのは言うまでもない。MSはただ市場そのものが拡大するのを見ながらそのマーケットシェアを取ることしかしてない。新しいケーキを作り出してはいない。X-Boxだって言ってみれば既存のPSなどによって作られたマーケットを食っただけである。
さて、ヨーロッパではアップルは音楽配信においてマーケットシェアを食い過ぎてしまい、独占禁止法に抵触しているとされてしまったがこれに対するアップルの対応もユニークだ。DRMというものを持ち出してレコード会社つまり著作権というものをドンとまな板の上に出してみせたのである。MSやSONYなら絶対にやらない。MSやSONYはマーケットシェアの原理から出ていないので、これらの著作権そのものも自社で買ってしまう方向に出るだろう。またしても既存のケーキ・・・というわけである。
アップルはまたもや新しいケーキを作ろうとしている。マーケットそのものを作ろうとしているわけである。

2007年9月11日火曜日

もうWinはいらない


Firefox上でWindowsのデスクトップ環境を作るajaxWindowsが登場した。これによってMacやLinuxでもまったくWindowsをインストールすることなくWindows環境を再現できるようになった。もはやBootcampなどでダブルブートする必要もバーチャルマシンさえ不要になったのだ。もちろん、ajaxWinはまだ開発途上のものであり、Winデスクトップを完全に再現できているわけではないと思う。しかし、日頃Mac OSやLinuxのユーザにとってWinが必要になるのは「互換性」の点だけであって、アプリケーションレベルではほとんど互換性があるため、厳密に言えばajaxWinはそれほど必要なものではない。
しかしWin信者というのは多くて、何が何でもWin環境じゃないとイヤ!という人に見せるためのものとしてajaxWinは説得力を持っていると思う。
登録して使ってみようと思う。

ajaxWindows

2007年9月7日金曜日

iPod Touchの示唆するもの


iPodのラインアップが一新された。Shuffleは仕様に変化はないがカラーリングを変え、Nanoはビデオ機能を搭載、そしてiPod Classicは80G&160Gと大容量ポケットサーバとなり、iPhoneと共通するインターフェイスを持つiPod Touchが新たにラインに加わった。

注目すべきはやはりiPod Touchであろう。機能的に見ればiPhoneから電話機能を外したもの、となるのだがiPod側から見ると、従来のものとは比べ物にならないほどの進化を遂げていると言えるだろう。その中でも注目なのはWiFi機能。そしてSafariのフルブラウザを搭載しているところだろう。WiFi機能のついたミュージックプレイヤは今までにもあった。他ならぬMSのZuneがそうだ。でもZuneのWiFi機能はほとんど実用にはならず、ただ「ついている」にすぎない。iPodはWiFiがないからZuneに劣ると言われてきたわけだがTouchはそれに対する回答だろう。WiFiを搭載するにはここまでやってはじめて実用になるのだという。Touchは普通のプロトコルでWiFi接続するので家のWiFiにもつなぐことが出来るようだ。Bonjourに対応しているのかはわからないが、AppleはWiFi専用のiTunes Storeも立ち上げて、Touchから直接アクセスを可能としている。そしてTouchからMacへの楽曲の転送も可能とした。
こういったサービス展開やユーザビリティの向上があってはじめて、このタイプのデバイスにWiFiを搭載する価値が出る、というわけである。

しかし、Touchを使ったらきっとiPhoneが欲しくなる・・・のだと思う。
iPhoneとTouchの中身は外見ほどには似ていないのではないか?iPhoneはOSXが動いていると明言していたAppleだが、TouchはOSXだと言っていない。あるいはサードパーティのアプリケーションが動くとも言っていない。そういう意味ではTouchはiPhoneの縮小版なのでなくやはりiPodの流れを汲むデバイスなのだろう。でも表面的には酷似しているのでiPhoneの価格設定の見直しも行ったのだという気がする。

突飛な話かもしれないが、Touchを見てOLPCを何となくイメージしてしまった。OLPCは特殊なWiFi機能を備えている。それはOLPCそのものがWiFiのホットスポットとなり自動的にWiFiメッシュを生成するという機能。TouchのWiFiとBonjourが使えるのならこれと似たものが出来るのかもしれない。つまりTouchは新しいコミュニケーションの形を生み出す可能性を秘めていると思う。