2008年7月23日水曜日

アフリカの生き残り能力


世界一の経済大国アメリカで爆発したサブプライムローン爆弾が欧州や日本を巻き込んで、原油や食料が高騰し全世界の経済が停滞している現状は、もともと世界経済の中で立場の弱いアフリカの民衆をさらに弱体化させています。
そして、もっと悪いことに「経済発展のお手本」がなくなっちゃったともいえるのです。今、勢いを保つのは中国やブラジル、インドといういわゆるBRICS諸国です。今までアフリカがお手本にしてきたのはなんと日本経済で、特にセネガルのワッド大統領なんかはそれを公言していました。しかし、その機を読むのに長けているワッド大統領がいちはやくセネガルに誘致したのは日本企業ではなくインドのTATAでした。これを見てもアフリカが決して経済でトップに躍り出ることはほぼありえないかわりに、破綻することなく低空飛行のまま、しぶとく生き残るであろうことは予想できます。

そもそも、今回のサブプライムにしても結局は日本で起きた不動産バブルと同じ構造の失敗が繰り返されたのだと思います。では性懲りもなくなぜ同じ失敗を繰り返すのか?
それは「数字を信仰している」からです。数字は正しい、数字は必ず実体を表す、数字は万人にアピールできる指標だということを妄信していたからにすぎません。もちろん、これは民主主義の根本である選挙システムの信憑性をベースにした信仰なのですが、信じるのに値するのは「足し算」に限った話なのだということを忘れがちです。
数字は基本的に操作可能なものですし、裏に人間の意思が働けばいくらでも別の結果を生み出せるものです。日本の不動産バブルも米国のサプライムローンもそうやってもともと少ない資産をものすごくあるように見せかけてカネを集めたわけです。それこそ、巧みなかけ算と割り算を駆使して・・・

最近、南部アフリカのジンバブエでインフレ率が220万%に達したという発表がありました。その数字はショッキングですし、実際にジンバブエでモノの値段が上がっているのは事実でしょう。しかし、実際はジンバブエの人たちは集団自決をするわけでもなく、暮らしを続けている。どうしてそんなことが可能なのか?
それは、ジンバブエのインフレなるものが自国通貨に換算して計算されているから、なのです。むしろ、暴落しているのはジンバブエの通貨そのものであって、消費者物価が基軸通貨(例えば米ドル)に対して純増しているわけではないと思います。もちろん、これにおいてもかなりのインフレになっていることは間違いないと思いますが、220万%というのはないと思います。
そして、その裏に見えてくるのが、このインフレでバブルな利益をむさぼっている連中がいるということ。そしてこんなメチャクチャな数字が国際社会に発信されても平然としている大統領とかその周辺がそれに絡んでいるのではないかという当然の憶測。
通貨カードを切るのは外貨の流入と流出をコントロールできる立場にいる人たち以外にいないのですから。
そして、このような状況が生み出すのがヤミ金融であることなど、アフリカで暮らしたことのある人間なら誰でも知っていると思います。

それでもアフリカは生き残るのです。
多分それは、すべての商品作物を栽培できなくなっても、全然カネがなくても、この豊かな土地では食いっぱぐれることがないからかもしれません。

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