2009年2月28日土曜日

Senegal:Air Senegal International(続報)


Afrique en Ligneが伝えるところによると、2009年6月末までにRAM (Royal Air Maroc)はASIから完全に手を引くので、セネガル政府に必要措置をとるよう要請しました。ありていにいってこれは「お金払ってね」ということなのだと思います。
ASIはRAMとセネガル政府がそれぞれ51%、49%の出資金(総額1085万ユーロ)を出し合って作った会社です。これは悪名高いAir Afriqueに替わる地域内の航空会社を作るためのものでした。しかし、2007年10月にセネガル政府はASIの運営権をRAMから奪取しました。
2年前あたりからASIのフライトは徐々にAir Afrique的症状を見せ始め、遅延が常態化しましたが、昨年秋あたりからは多少改善していたように思います。これはCAM(Compagnie Aerienne du Mali)がASIとかぶる地域でマーケティングをはじめたこと、EthiopianやKenya Airwaysなどの東アフリカ系、あるいはリビアのAfriquiaの就航地域拡大などに経営の危機感を感じたせいかもしれません。
とにかく、ASIについては注意深く見守る必要があるでしょう。セネガル政府には昨今の財政危機を見ても、RAMからの出資金を自前で返済することはできないように思います。よって考えられるのはASIの身売りとなるのではないか?と考えられます。
とにかく、ASIを使うのであればこれからはある程度のリスク覚悟をしなければいけませんね。

関連ポスト

2009年2月27日金曜日

Africa:News Round Up 2/27


ガンビアで不法な武器の輸入を行ったとしてオランダ人が逮捕されました。(Afrique en Ligneの記事

トーゴではニャシンベ大統領が所属する政党(RPT)の幹部から不信任を突きつけられているそうです。トーゴの次の大統領選挙は来年2010年。最近ようやく安定が見えてきたところで、トーゴはまたつまづくのでしょうか?個人的にはニジェールにいた時もベナンにいた時もトーゴ人の友達がいたので身近に感じるのですが、トーゴ人は一般に温厚でとても働き者です。政治的な混乱がなければいい国なんだと思うのですが。

ナイジェリアではアブジャの首都圏でラッサ熱が発生しているそうです。アブジャ付近に行かれる方は予防措置をお忘れなく。(AllAfricaの記事

次にガボンですが、オマール・ボンゴ大統領がフランスに持っている銀行口座をフランスの司法当局が差し押さえました。これは政治的混乱ではなくボンゴ大統領の個人的な取り引き上での問題だとしています。(Afrik.comの記事

セネガルでは中国人の輸出入業者が先週殺されたことに抗議してストを行っています。(IC Publicationの記事)ダカールの中心部に近いCentinaireと呼ばれる通りは今「チャイナタウン」と呼ばれているのですが、これを見てもわかるように近年中国人がたくさん入ってきています。また、先日は国家主席の訪問もあり、多額の金を落としていったとも聞きます。そんな時点でこういう事件が起こるのはとても良くないことですね。また、Chineviewの報道によると、世界不況はセネガルの出稼ぎ人を襲い、セネガルに外国から流入している金を減少させると国連関係者が語っていることを伝えています。こういう形でセネガルの経済も世界不況の影響を受けるようです。それにしても、この点で心配なのはカーボヴェルデです。この国は外国在住の国民がカーボ在住の国民よりも多いという移民国なのですが、カーボの経済はこの出稼ぎ者からの送金で成り立っているのです。相当な経済危機を覚悟する必要があるでしょう。

ニジェールではマリと共同でトアレグ問題に関するフォーラムが予定されています。(JeuneAfriqueの記事)最近、マリはトアレグ問題に積極的に取り組み、大きな武装グループが投降するなど、目に見える結果を出していますが、ニジェールは他のアジェンダに忙殺(選挙等)されて足並みが揃っていないようです。

IRIN Newsギニアの監獄の悲惨な状況を伝えています。これはもう一種の伝説です。セク・トゥーレの時代からギニアの監獄とはこの世の地獄だといわれています。ソースはMSF(国境なき医師団)で、国際社会の注意を促しています。

最後にマダガスカルですが、今週に入ってラバロマナナ大統領とラジョエリナ氏の間でもたれた数回の直接対談は何の成果ももたらすことなく終わったようです。木曜に予定されていた会談の続きを大統領はすっぽかし、これをうけてラジョエリナ氏は「話は終わりだ」と交渉の打ち切りを宣言しました。(JeuneAfriqueの記事)またRFIの伝えるところによると、ラジョエリナ氏を解任したあとに据えられたアンタナナリブ市長を引きずり下ろすべく、ラジョエリナ氏の支持者が市役所に押し掛けましたが、警察によって解散させられたそうです。

2009年2月25日水曜日

Apple:Safari 4.0 PublicBeta


Appleから新しいSafariウェブブラウザのパブリックベータがリリースされました!
私も早速ダウンロードして使ってみました。
このSafari 4.0のウリはまず高速のJavaScriptの実行で、従来に比べて4倍のスピードアップということです。最初はかなり時間がかかりますがキャッシュが積み重なってくると確かにどんどん速くなってきますね。
あとは新しいウインドウやタブを開いた時によく使っているサイトのサムネールが表示されるTop Sites。そしてサムネールをクリックするとアニメーションでググーンと開きます。細かい話ですが、このアニメーションは多少ウザくもあり楽しくもあり、もう少し使ってみないとどっちかよくわかりません。
あとはブックマークを開いた時のカバーフロウ表示です。これも素早く内容を確認するには便利な機能ですね。
しばらくは自分で使ってみて、不具合がなければ店にも入れていこうと思います。

=UPDATE=
Cult of MacがいくつかのSafari 4.0の新フィーチャーを3.xのものに戻すコマンドのページを紹介しています。ターミナルを使うのでこれが何を意味するかわからない人にはお勧めしませんが。なおそのやり方は以下の通りです。Random Geniusさんのブログから抄訳転載させていただきます。自己責任でお願いします。

アプリケーション>ユーティリティの中にあるTerminalを開きます。言うまでもありませんがアドミンのアカウントでログインしておいてください。Terminalの準備が完了すると"ユーザーネーム $"がプロンプトされます。
ここで次のコマンドをコピーペーストしてリターンを押します。
strings /Applications/Safari.app/Contents/MacOS/Safari | grep DebugSafari4
すると次のデバッグメニューが表示されるはずです。
DebugSafari4TabBarIsOnTop
DebugSafari4IncludeToolbarRedesign
DebugSafari4IncludeFancyURLCompletionList
DebugSafari4IncludeGoogleSuggest
DebugSafari4LoadProgressStyle
DebugSafari4IncludeFlowViewInBookmarksView
DebugSafari4TopSitesZoomToPageAnimationDimsSnapshot
DebugSafari4IncludeTopSites

ここで、次の7つの作業のうち希望のものを行います。いずれもコマンド部分をコピーペーストしてリターンを押すだけです。
1. タブバーの位置をツールバーの下に戻す。
defaults write com.apple.Safari DebugSafari4TabBarIsOnTop -bool NO
2. ローディングのプログレスバーを回転からブルーのバーに戻す。(1行づつ両方行ってください)
defaults write com.apple.Safari DebugSafari4IncludeToolbarRedesign -bool NO
defaults write com.apple.Safari DebugSafari4LoadProgressStyle -bool NO

3. 新しいスタイルのURLオートコンプリートを元に戻す。
defaults write com.apple.Safari DebugSafari4IncludeFancyURLCompletionList -bool NO
4. Google Suggestをオフにする。
defaults write com.apple.Safari DebugSafari4IncludeGoogleSuggest -bool NO
5. Bookmarkのカバーフロー表示をオフにする。
defaults write com.apple.Safari DebugSafari4IncludeFlowViewInBookmarksView -bool NO
6. TopSitesからページをオープンするときのグレーイメージとアニメーションをオフにする。
defaults write com.apple.Safari DebugSafari4TopSitesZoomToPageAnimationDimsSnapshot -bool NO
7. Top Sitesのフィーチャを完全にオフにする
defaults write com.apple.Safari DebugSafari4IncludeTopSites -bool NO

なお、これをSafari 4.0のデフォルトに戻す時は以下のコマンドでできます。

作業が終わったらSafariを終了、再起動します。

Africa:News Round Up 2/25


Afrik.comが伝えるところによると、昨年10月からアフリカではあちこちの様々な紛争によって35万人の新しい難民を生み出したということです。

また、あちこちで一般犯罪のレベルが上がっていることを思わせる報道があります。Afrique en Ligneが伝えるところではトーゴのロメで1週間の間に7名の強盗が警察によって射殺されたそうです。
また、コートジボワールでは東部アベングールーの留置所から98名の収監者が脱走したそうです。(Afrik.comの記事

組織犯罪についても、ガボンのフランス軍基地から戦争用の武器が盗み出されたそうです。(Afrik.comの記事)ただの強盗でないとは言いきれませんが、地理的に現在緊張の高まっているニジェールデルタ、赤道ギニア、サントメプランシペに近いことから、この地域に跋扈する武装グループの犯行という線も疑われます。その赤道ギニアですが、Jeune Afriqueによると、ヨーロッパ人に対するビザの発行をストップしたそうです。Obiang Nguema大統領は、「ヨーロッパ人は自国の経済危機から逃れ、赤道ギニア(から搾取することによって)を使って経済を立て直そうとしている」とその理由を説明しています。しかしIRIN Newsによると赤道ギニアの原油生産は2008年に大幅に減っており、2007年には10%もあった経済成長率が2008年には4.1%まで落ち込んでいるということです。一体この国では何が起こっているのでしょうか?
また、Jeune Afriqueニジェールで拉致された人質らしいという写真をマリからの情報として掲載しています。

次にRDCルワンダですが、BBCはフツ族ゲリラがコンゴ民の軍事基地を乗っ取ったと伝えています。この記事内にもあるのですが、敵対していたRDCとルワンダが突然共闘をはじめたことに対して戸惑いや不満、そしていろいろな憶測を呼んでいます。AllAfricaが伝えているのですが、ロンドンのInstitute for War & Peace Reportingは明確に「ルワンダ政府の目的は北キブ州の地下資源である」としています。これと奇妙に符合する形でキガリのFocus Mediaが「我々(ルワンダ)は本当に援助依存から抜け出せるのか?」という記事を出したそうです。(All Africa)短期的に経済をブーストさせるのに地下資源に勝るものはないわけですし。

そういうバブリーな話と全く関係ない話がガンビアから入ってきました。(All Africa)ドイツのNGOがガンビアでの農村地帯での風力発電に取り組んでいるそうです。ダカールでも風が強いので風力は向いていると思うのですが、ヨーロッパなどで使われている風車はコストが高すぎるのでしょうか、まだここでは見たことがありません。農村地帯では都市と違って電力の需要は明かり、冷蔵庫、ラジオ/テレビくらいでこれらは太陽光や風力でカバーできるものだと思います。ただ、機材が破損した際にはこれを自力で交換するのは難しいかもしれません。

最後にマダガスカルですが、ラバロマナナ大統領とラジョエリナ氏の直接対談が続いているようですが、まだ内容やその進捗状況については全く聞こえてきません。

2009年2月24日火曜日

Africa:NEPADはどうなったのか?


NEPAD (New Partnership for Africa's Development:アフリカ開発の新パートナーシップ)は2001年に発足したAUの下部機関でアフリカ開発の新しいビジョンと戦略的フレームワークです。NEPADを主導したのはアルジェリア、エジプト、南アフリカ、ナイジェリアおよびセネガルの国家元首です。2001年当時、オバサンジョ大統領、ムベキ大統領、ワッド大統領などの持っていた影響力は強力でした。そして、これらの人の鳴りもの入りで始まったNEPADは未来を約束されたも同然でした。私もNEPADは成長すると見ていました。しかしNEPADは全く動かなかったのです。AllAfricaがNEPADの今の記事を書いています。ワッドは「会議ばかりしている」とNEPADを切り捨てました。そしてオバサンジョとムベキは政界から引退。NEPADの現在は全く死体です。
しかし、いかにNEPADがアフリカの官僚主義によって殺されたとしても、その目的の重要性は現在でも薄れていません。NEPADの4つの目的は、

1. 貧困削減
2. アフリカの個および集団的持続可能な開発と成長
3. グローバルな経済システムの中でのアフリカの地位確立
4. 女性のエンパワーメント

となっています。これらをアフリカが自らのイニシアチブでやっていこうということだったのです。実動したなら素晴らしいことだったのですが、残念なことにワッド大統領の言う通り「会議ばかりしていた」のでダメになってしまったのは非常に残念です。

Rwanda:OLPCでフリーWifiを見つける子供達


Engadgetの記事から。
かわいいですね。ルワンダではOLPCのプロジェクトがスタートしたばかり、ということですが、XOを持った子供達は教室を飛び出して街でフリーのWifiスポットを見つける遊びに乗り出してしまったそうです。そして見つけた最高のスポットはキガリ国際空港なんだそうです。うちにも子供達は遊びにきます。そしてたいていFlashやShockwaveのゲームのサイトを見つけて一生懸命遊んでいます。子供は確かに慣れるのが驚くほど速い。特にOLPCなんかは記憶領域が小さいですから、中に入っているものではすぐに飽きてしまうでしょう。XOはネットブックの走りとも言うことができ、ネット環境があることを前提に作られています。そして、XOは自らをホットスポットとしてWifiの領域を広げることもできるのです。それがOLPCの考える「子供世界のソーシャル」なのだと言えます。しかし、どこかにネットの接続口がないと、元も子もないわけです。つまり、OLPCの投げかけているのは今商業ベースでしか考えられていない「ネットへの接続」を「社会インフラ」「公共サービス」の1つとして捉えようという試みなのです。それは多分にユートピア的考えでしょうが、もしかしたらルワンダのような国にいちはやくそのような「ユビキタス」が出現するのかもしれません。
とにかくルワンダでのOLPCプロジェクトの成功を祈っています。

Cameroun:赤道ギニアとの海運が停止


=速報=
赤道ギニアの大統領府に対する攻撃はもうすでに2回お伝えしていますが、この事件をうけ、カメルーンからの海運がストップしているようです。(All Africaの記事
記事によると、赤道ギニアの首都マラボと島から最も近い大陸側の町カメルーンのリンベの間にはフェリーが就航しており、おもに食品を中心とした物資が輸送されていますが、このフェリーが事件後ストップしているそうです。理由は赤道ギニア側の国境が封鎖されているということらしいです。また、マラボに在住するカメルーン人と電話による取材を行ったようですが、一応静寂を取り戻しているものの緊張状態が続いているとのことです。
また、昨年9月に今回と同じような武装グループによる襲撃がリンベでも起こっており、銀行が襲われて2名が死亡したそうです。

2009年2月23日月曜日

MS:MSのアフリカ戦略

Afrique En Ligneによると、2/25からマイクロソフトが西アフリカおよび中央アフリカでキャンペーンを展開するそうです。このキャンペーンの目的は「パートナーの生産性向上のための手段とツールを提供し、投資に見合った結果を得られるようにする。」ということです。確かにアフリカでのWindowsのシェアは他の地域よりも高いかもしれませんし、IT企業にとってアフリカは「最後のフロンティア」だとMSが考えていても別に不思議はありません。
しかし、これが単なるVISTAの販促なのであれば、キャンペーンはほとんど無駄な気がします。VISTAはハードウェアに対する要求が高く、古いハードウェアに導入するとさらにストレスがたまる結果になります。この地域ではそもそもハードウェアがまず足りないわけで、Pentium 3等が現役で動いている世界にVISTAを持ってくるのは無理というものです。
これはMacにも言えることで先日「とにかく動作が遅くて仕方ないのでどうにかしてほしい」と持ち込まれたPowerBook G4 AlminiumはLeopardをインストールしていてRAMは1GBでした。これはTigerにダウングレードしましたが、今はサクサク動いています・・・
話を戻しますが、このキャンペーンは「どのようにお金を節約するか?」をメインテーマにしているそうです。非Windowsの世界からすれば、「そんなの、Winをやめることでしょ?」となるのですが、それはナシで考えるところがミソなのですね。でも、多分これは安易に「VISTAはXPやもっと古いシステムよりも安全性が向上しています。」とか「今ならアンチウイルスをおつけします」みたいなので終わりそうな気もするのですが。ここでHPの代理店をやってる人が多分出席するはずと思うのであとでどんなだったか聞いてみます。
MSといえば、Windows Mobile 6.5のスクリーンキャプチャが先週ネットを賑わしていましたが・・・これは、なんというか80年代のボードゲームオタクな高校生が作ったみたいな感じですね。ハニカム構造というのは確かにデザインとして魅力的ではあります。しかしスクリーンキャプチャを見てもわかるようにものすごくスペースが無駄です!しかもメイン画面でスクロールしなきゃいけないというのはUIとしては0点。まだ、MEIZUの偽iPhoneの方がマシに見えます。話が脱線ついでにSONY Ericssonの新しいケータイ"Idou"はSymbianベースだということで、これはXperiaより欲しいと思わせます。ただ、やっぱりこれはSONY Ericssonが作ったiPhoneにすぎないって気がしますね。あと値段(700〜1200ドル)も高すぎると思います。

2009年2月21日土曜日

Africa:News Round Up 2/21


今朝も寒いダカールです。もう2月も下旬だというのに。

寒いのはダカールだけでなく、ギニアコナクリでも異常に寒い天気が続いていて、農作物に被害が出ていると、IRIN NEWSが伝えています。ギニアのマリ(国ではなくギニアの町の名前)ではFAOとWFPによると1/17〜26にかけて平年なら12度くらいまでしか下がらない気温が1.4度まで下がりました。これによって、植物はまるで火に当てられたように枯れているそうです。また家畜にも被害が及び、千頭あまりのヤギや羊が死んだそうです。

次に経済ですが、ガーナの新大統領アタ・ミルズ教授はガーナ経済が深刻な危機にあることを国民に発表しました。昨日ナイジェリアの経済危機についても触れました。またガンビアもかなり不況の影響を受けているようです。これらのことから見えてくるのは域内の独自通貨を持つ国が経済危機状態を示しはじめたということです。(Afrique en Ligneの記事
また、同じくですが、AllAfricaは南アフリカのフラッグシップキャリア、South Africanが巨額の債務を抱え、資金繰りに苦労していると報じています。記事によるとこれは単純に不況の影響ではなく、麻薬がらみのスキャンダルがあり、ロンドンでSAAフライトのクルーの乗ったバスから大量のコカインを発見されたことも響いているようです。

RFIによると、コンゴ民東部の北キブ州でコンゴ民軍と共同作戦を行っていたルワンダ軍の作戦終了にともなう撤退が始まったそうです。

最後に、マダガスカルですが、本日土曜日にラジョエリナ氏の指揮する集会が予定されているそうです。アンタナナリブの動きは暴力的な雰囲気ではなくなってきましたが、解決からはほど遠く、問題の慢性化、長期化が心配されます。(RFIの記事

Food:セネガルの駄菓子


閑話休題。
いつも重い話ばかりしているのも疲れるので、久しぶりに食べ物の話をします。夕方になんか口寂しくなったりちょっと小腹がすいたりしたとき、本当におなかがすいている場合はファタヤと呼ばれるつみれの入った揚げ物やアカラと呼ばれる豆の粉でつくったやはり揚げ物とか道ばたでおばちゃんが揚げているドーナツなどを買うこともできますが、そこまで本格的におなかがすいてないとき、ブティックに行くとなかなかおもしろいものを見つけます。ブティックには、近所のおばちゃんお手製の駄菓子も売っているのです。それもなんか昭和っぽいなつかしい感じの透明なプラスチックの壷状のものに入って・・・
写真を見ていただきたいのですが、今日は3種類買って写真を撮ってみました。なんか質感が出なくて残念ですが。
上部に映っているコロッケのような形をしているもの、実際はもっと厚みがあってラグビーボールのような形をしているのですが、これはヘール・トゥーバというお菓子です。食感は盆菓子に似て食べると口の中で崩れて粉っぽくなります。右側のチキンナゲットのように見えるもの、これはボップ・ガインデというお菓子です。ボップ・ガインデとはウォロフ語で「ライオンの頭」という意味ですが、ココナツの入ったクッキーとマカロンの中間みたいな味です。最近、お気に入りです。左側のはヌガーと呼んでいますが、アーモンドの練り菓子ではなく、砕いたピーナツをキャラメルに混ぜたもののようです。カロリー高そうですが、これがまたおいしいのです。
どれも1コ25FCFA(約5円)です。
私がこういう駄菓子を買ってうれしそうに食べていると、アリウンやムサはなんかニヤニヤしています。ファタヤやアカラを食べる時とは違って、くれとは言わないので、多分子供の頃に食べたか、私の見ていないところで食べていたのでしょう。
実はまだブティックには謎の駄菓子があるので、また食べてみます。

2009年2月20日金曜日

Africa:News Round Up 2/20


Afrique en Ligneによると、ニジェールの1月時点での2008/2009年1年間のインフレ率が11.8%に達したと統計研究所が発表したそうです。これは主に穀物価格の高騰(41.6%)によって大きく押し上げられたもので、昨年12月から今年1月で見れば全体の物価は下降基調だそうです。しかし、アンティーユ初頭のグアドループで大きく問題になっているように、これらの貧しい地方での物価上昇、特に基本食品の高騰は人々の生活を直撃します。話に聞くところではベナンのインフレも激しいようです。

次にマダガスカル情勢ですが、RFIが伝えるところによると昨日ラジョエリナ氏が任命した4名の大臣は「マダガスカル風」に・・・つまり機嫌良く、際限ないおしゃべりをしながら、そして暴力なしに・・・各省庁の建物に「象徴的に」入りました。この部分、かなり面白いのですが、省庁が集まっている地区を警察が封鎖していたのです。木曜はこの大臣達を含む少人数のグループが警察と掛け合い、省庁のある地区の中心にある交差点まで一緒に入ったそうです。警察は「われわれの警備区域はここで終わりです。ここから先のレッドゾーンに入ればどうなるか保証できません」と語ったそうです。大臣達はこの警告を聞いた後静かにレッドゾーンに入り、それぞれの省庁の大臣執務室を公証人(Huisier)立ち会いのもとに扉を破って侵入、大臣の執務室に象徴的に短時間落ち着いた後、執務室の鍵を変えて、「明日から執務を開始する」と言い残して建物から退去したそうです。なお各省庁の建物はほとんど無人だったということです。
もちろん、この話には続きがあって、ラバロマナナ大統領の大臣達は今朝軍を使って各省庁を奪回したそうです。(RFIの記事
それにしても、ラバロマナナ大統領もラジョエリナ氏もワッド大統領の仲介はいらないみたいですね。まあ、2002年のワッドと今のワッドではイメージ的にも全く価値が違いすぎます。そのことにワッド大統領自身が気づいているとも思いませんが。

そして、その「イメージ悪化」を裏付けるようなことが起こっています。AP通信が伝えるところによると、ベルギーがセネガルをハーグの国際法廷に訴えました。それは先日もお伝えしましたが、元チャド大統領のハブレの処遇を巡っての件です。ベルギーの主張によると、ベルギーはこれまで再三セネガルに対し、セネガルで裁くかさもなければハーグにハブレの身柄を移すように主張してきたということで、この申し出を今まで蹴っていたセネガルが今になってハブレを放り出そうとしているのは無責任であり、むしろハブレを裁くことなく逃亡させようとしている、ということらしいです。

Nigeria:神経質になっている連邦政府


なんとなくナイジェリアをめぐる報道や政府の反応にピリピリした神経質さを感じます。一昨日お伝えした赤道ギニアの大統領府襲撃に関し、ナイジェリアの連邦政府外相Ojo Maduekwe氏がコメントしているのですが、「ナイジェリア連邦は赤道ギニア政府施設に対して行われた犯罪行為に対し強い遺憾」の意を表した後、「これはギニア湾岸諸国がもっとお互いに情報共有等を通じて非国家的グループの攻撃に対し共闘しなければならない。」また犯行グループとナイジェリアの関係について「我々は全く無関係である。赤道ギニア政府は犯行グループの身元を突き止めてはいないし、たとえ彼らがニジェールデルタのゲリラであったとしても、ナイジェリア連邦政府とは全く関係がない。」と異様なまでに激しい調子でナイジェリア政府との関係を否定しています。(Afrique en Ligne仏語AllAfrica英語
また、このニジェールデルタ問題については「過度に誇張されており、訪問者や投資家を怖がらせている」と国連の事務総長アシスタント、チャールズ・ロプス氏が語っています。このようにナイジェリア連邦政府はニジェールデルタ周辺の問題に非常に神経質になっています。この背景にはもちろん世界不況があります。そして世界不況が始まる前からはじまっていたナイジェリア通貨ナイラの下落もあり、ナイジェリアは深刻な経済危機に瀕しているというのはあながち間違いではないと思います。「経済溶解(エコノミックメルトダウン)を回避するためナイラ札を増刷するべき」とラゴスの新聞が伝えているそうです。(All Africaの記事
ナイジェリアの状態は注意深く見守る必要がありそうです。

2009年2月19日木曜日

Africa:News Round Up 2/19


まずは明るいニュースからです。マリでは700名のトアレグゲリラが投降したと様々なメディアが伝えています。(BBCの記事、仏語)もちろんトアレグゲリラというのはマリ北部だけではなく、ニジェール、アルジェリア、リビアと非常に広い地域に分散しているのでマリだけがなんとかなったとしてもあまり変化はないのかもしれませんが、大きな前進だと思います。

しかし、その一方で昨年12月にニジェールのティラベリで起きた国連のフォウラー特使の拉致と1月に起きている4名のヨーロッパ人誘拐についてマグレブのアルカイダが犯行声明をアル・ジャジーラテレビで行いました。ニジェール政府はこの事件をトアレグゲリラと結びつけていたわけですが、ここに来て意外な展開となりました。もちろん、トアレグゲリラがこの件に関して全く関与してないとは言いきれませんし、むしろ積極的に関与していたと考える方が自然だと思います。つまり拉致された人質は身柄をトアレグゲリラからアルカイダに引き渡されたのではないか?とも思います。ニジェールではイスラム原理主義の跋扈を思わせるようなものはありませんでしたし、むしろその点ではセネガルの方が危ない気がしていました。しかし、今となっては逆にセネガルの強大なムリディズム等の動きがアルカイダ等の侵入を阻んだとも考えられ、そういうものがなかったニジェールにトアレグゲリラを媒介としてアルカイダが入り込んだのかもしれません。(Afrik.comの記事)ニジェールには協力隊員を中心としてかなり地方に日本人がいるので、本当に気をつけて欲しいと思います。

マダガスカルですが、今まで沈黙を保っていた軍が「軍は権力掌握はしないが、迅速な解決に向けて義務を果たす」と発表し、中立的立場を保ちながらラバロマナナ大統領寄りの姿勢を出しました。(BBCの記事)また、この記事によると今回仲介を申し出ているセネガルのワッド大統領は2002年にラバロマナナ大統領が政権を掌握した際にも仲介を行っているのですね。また、火曜日にはラジョエリナ氏陣営が5000人を動員してシットインを行ったようで、まだまだ解決の兆しは見えません。(Afrik.comの記事)

赤道ギニアのマラボでの大統領官邸襲撃を昨日お伝えしましたが、今度はサントメ・プランシペでクーデターを準備していたと思われる30人あまりのグループが摘発されています。地図を見ていただけばすぐおわかりと思うのですが、この海域で事件が相次いでいるわけで、関連性を疑わない方がおかしいと思うのですが、すべての事件がナイジェリアのニジェールデルタ、つまり「ビアフラ」の方向を指しているのです。(BBCの記事


最後に、Afrik.comがCFAフランのユーロへの固定の是非についての2人のエコノミストの見解を載せています。今回の世界不況でこの「固定レート」についてはまた議論が再燃するでしょう。しかし、これは慎重に行わないと大衆レベルでの貧困をものすごく加速させてしまう恐れも多いにあります。また例えばMDGなどの達成もさらに厳しくなる可能性があります。

2009年2月18日水曜日

Africa:News Round Up 2/18


まずは、赤道ギニアの首都マラボで武装グループによって大統領官邸が襲われ、クーデターか?という噂が流れましたが、後ほどこの襲撃グループがナイジェリアの「ニジェールデルタゲリラ」によるものだと発表されました。このグループはこれまでもこの海域で海賊行為を働いたりしてこの地域では問題となっているのですが、この発表もなんかいまいち胡散臭いのです。というのは襲撃から一夜明けても赤道ギニア政府筋は襲撃者の正体につきはっきりと特定できていないこと、そしてニジェールデルタゲリラの中でも最大のグループであるMEND(ニジェールデルタ解放運動)がこのマラボ襲撃について関与を否定しているのです。赤道ギニアは人口50万の小さな国ですが、石油が出ることもあってかなり潤っており、クーデターがこれまでも何回も起こっています。(RFIの記事AllAfricaの記事

RDC政府はコンゴ民東部での争乱につき、国際NGOのグローバルウィットネスを支持すると発表しました。このNGOはイギリスとタイの鉱物企業が「コンゴ東部での市民レベルでの争乱を誘発している」としてボイコットを呼びかけています。(Afrique en Ligneの記事)これまでもコンゴ東部問題にはルワンダから流れてきたツチ/フツの民族問題やウガンダLRAのような武器を持った狂人だけでなく、欧米亜の地下資源開発関係者が関与していると言われてきましたが、これを今になってRDC政府がわざと「表面化させた」のはどういうアジェンダがあるのか、気になるところです。

ベナンの給水についてIRINからのニュースです。ベナンのエネルギー水利省によると「ベナン国民の半数を安全な水から遠ざけているのは汚職である」ということです。ベナンの給水セクターのリフォームにはこれまで8700万ドルあまりがつぎ込まれ、このうち大部分が日本からの援助ですが、それでもリフォームは思ったほど進んでいないということです。日本からのプロジェクトを水利省でコーディネートしているブレーズ・ドッサ氏は「資金が届くとそれがプロジェクトに実際に下りてくるまで、長い長い関係者の列を通らなければなりません。」と語っています。これは難しい問題です。

ギニアコナクリでは早期の選挙実施に向け国際社会がカマラ大統領に圧力を加えています。(RFIの記事)そしてやっとカマラ大統領は選挙実施のアジェンダを出してきたようです。

最後にマダガスカルですが今度はセネガルのワッド大統領が仲介者として名乗りを上げているようです。(Bloombergの記事

2009年2月17日火曜日

Niger:SONITELは「再国有化」


ニジェールの電話会社SONITEL問題のアップデートです。この問題、先に「通信免許剥奪」とお伝えしました。しかし、これには続きがあってTelegeography.comが伝えるところによると、ニジェールの通信大臣は国営テレビで、「SONITEL(とSahelcom)の民営化は失敗だった。19日の0時をもってDATAPORTはSONITELおよびSahelcomのシェアホルダーではなくなる。」と発表しました。DATAPORTについてはすでにお伝えしていますが、リビアのグループLAAICOと中国のベンダーZTE Corpが中心的なコンソーシアムで2001年12月に175億CFA(3450万ドル)でSONITELの過半数のシェアを獲得していました。ちなみにSONITELの第二の株主はニジェール政府で、35%を保有していました。今回はどのように「取り引き」がなされたのかはわかりませんが、表面的にはニジェール政府がDATAPORTの持っていたSONITELの株を「取得」(買い戻し?)して、SONITELを「再国有化」したことになります。
推測ですがこれは結構臭います。
まず、2001年にDATAPORTにSONITELの経営権を渡した際、DATAPORTはFrance TelecomとSonatelに「せり勝った」のです。そして、昨日のラウンドアップでも取り上げていますがニジェールの第4のケータイプロバイダはOrangeです。OrangeはFrance Telecomのブランドですし、パートナー企業であるSonatelのブランドでもあります。さらにOrange Nigerのサイトを見ると、Orange Nigerはケータイだけではなく、グラウンドラインおよびインターネット接続を行うステータスも取得しています。(サービスはまだ行っていません)
もしかしたらニジェール政府はSONITELを一旦国有化したあとOrangeに売り渡すのではないでしょうか?DATAPORTが失敗した事業をニジェール政府が成功させられることはあまり考えられませんし、Orangeは資本力、ノウハウ、技術的バックグラウンドを持っています。
参考までにOrange Groupのアフリカマップを掲載しておきます。

Madagascar:袋小路


RFIから続報が入ってきましたのでお伝えします。
今朝お伝えした通り、本日ラジョエリナ氏は任命した大臣達を仕事にかからせるべく、各省庁へその支持者を動員しました。しかし、この動きは事前に知らされていたため、各省庁前で警察とのにらみ合いになりました。そして、結局ラジョエリナ氏側は大臣達の省庁入りをあきらめ、支持者達に解散するよう呼びかけ列を離れましたが、支持者達は結局そのまま残って警察と対峙しました。警察は催涙弾を使って人々を散らし、事態は収まりました。死者および怪我人は出ていないようです。
犠牲者が出なかったのはよかったと言えますが、このように解決の糸口さえつかめない袋小路に入っていってしまうのは、かなり危険なことだと思います。それは、まず市民レベルでの生活がまず制限され、人々の不満は高まるでしょうし、それに加えて外国からの投資者がどんどん逃げていきます。これによってさらに経済状況が悪化し、これはまた市民レベルの生活にキックバックされます。
もちろん、マダガスカルの場合2011年に大統領選挙が予定されていますから、そこに一応の「区切り」はあります。しかし、それまでの2年間で事態がどのように展開するかわかりませんし、何度か書いたと思いますが投資家の足は速いのです。2年間待つというのはあり得ません。
アフリカ連合、国連、インド洋連合、フランスに続いて今度は南部アフリカ連合SADCの特使がマダガスカル入りするようですが、これによって事態が好転する見通しは低いと考えざるを得ません。ラジョエリナ氏もラバロマナナ大統領も全く身を引く気はないようです。

2009年2月16日月曜日

Africa:News Round Up 2/16


ダカールでは先週数日暖かい日があったのですがまた週末から風が強くなって寒くなってしまいました。こんなに寒いのははじめてです。

まず、マダガスカルですが、あまりネット上のメディアやテレビには情報が出て来なくなりました。RFIに情報があり重要なので取り上げます。記事によると本日2/16月曜にラジョエリナ氏は任命した「大臣」にそれぞれの省に出向いて仕事にかかるように言い渡したということです。またラジョエリナ氏は彼の支持者にこれらの大臣につきそって各省庁に行くように要請していますので、現政府との衝突は避けられないと考えられます。各省庁付近では混乱が予想されますので付近では警戒が必要です。それにしても、AUの仲介、国連の仲介、フランスの仲介は全く無駄だったようですね。フランス協力国務長官ジョヤンデ氏はさっさとコナクリに飛んでしまいましたし。

ジンバブエは新政府の農業副大臣に任命されたロイ・ベネット氏をめぐって早速揉めまくっています。彼は写真を見ても明白なように白人なわけですが、就任して数日で副大臣の椅子から引きずり下ろされ、裏切り者とののしられたあげく、今度はテロリストに認定されてしまう始末。(RFIの記事)政治的な混乱はまだまだ続きそうです。

次にまたルワンダ周辺がキナ臭くなってきました。AllAfricaがたくさんルワンダ周辺の記事を載せています。まず、RDCからもとFDLRゲリラが多数ルワンダに送り返されています。しかし数字のうちわけを見ると子供の数が半数を占めており、どういうことなのか謎です。(記事)また、FDLRの幹部の1人、ハビマナ大佐も捕らえられました。(記事)また、ルワンダ国際犯罪法廷(ICTR)の代理記録係 (DEputy Registrar) のローランド・アムスンガ・オドネル氏が辞任しました。理由は「純粋に個人的な理由」ということです。(記事

ナイジェリアはなんだかまたJosがゴタゴタしているとかニジェールデルタ問題とか小粒なゴタゴタが満載なのですが、連邦政府が農村部でのインターネット接続スキームを発表しました。(AllAfricaの記事)ただ、記事を読むとこれには技術的バックグラウンドがほとんどありません。言ってみれば「絵に描いた餅」ですね。ナイジェリアは先日スイスで国連の人権会議が開かれた際、同性愛者に対する人権が認められているかという問いに「ナイジェリアには同性愛者はいません。呼びかけたのですが誰も呼びかけに答えませんでした。」と発言し物議をかもしています。ナイジェリアの特に北部などではイスラム法シャリアを採用する州があったりする人権無法地帯などです。姦通罪で死刑とかまるで中世の魔女狩りがまかり通る世界で、当然同性愛者など見つかれば殺されてしまいます。そういうところで、呼びかけても出て来なかったから「いない」というのは、あきれてものも言えません。

ベナンをフランスの外務人権国務長官のラマ・ヤッド女史が訪問しています。(Afrique en Ligneの記事)フランスの外交筋がアフリカの空を飛び交っていますが、これは何かあるのでしょうか。中国の国家主席のアフリカ歴訪と何か関連があるのかもしれません。

最後にニジェールのケータイ事情についての昨日の記事ですが、知り合いから「ニジェールでは今Orangeが一番人気です」との情報をいただき、確認しました。現在ニジェールのケータイキャリアはOrangeZain、Moov、Sahelcomの4社です。Orange(France Telecom)は一番後発ですが、数々のプロモーションや外国での展開を強みにして人気を博しているようです。

2009年2月15日日曜日

Rwanda:ジェノサイドのエキスパートの死


2/12に起きたアメリカのニューアーク発バッファロー行きボンバルディア機の墜落事故は記憶に新しいところです。乗員乗客48名全員が亡くなったこの事故の犠牲者の中に、HRW (Human Right Watch) のアリソン・デフォルジュ博士が含まれていました。All Africaの記事によると、デフォルジュ博士は1942年ニューヨーク生まれ、学生時代にルワンダの土を踏み、ルワンダを理解しそこで行われている悲劇を世界に知らしめ、ルワンダの人々を救うことに一生を捧げました。博士はその著書、"Leave None to Tell the Story"でよく知られており、MacArthur Awardを受賞しています。また、ベルギーやスイスなどで開かれたルワンダ国際犯罪法廷に専門家として出廷しています。博士の精力的なジェノサイドの責任追求はルワンダ政府に不評で、HRWが2008年にルワンダの法改造に関する詳細な分析を発表したあとに政府は博士のルワンダへの立ち入りを禁止しました。一番最近の仕事はコンゴ民東部での状況分析だったそうです。
アリソン・デフォルジュ博士の冥福を心から祈ります。
参考:BBCの記事

MS:リテールストア続報


MSのEntertainment and Devices Divisionのボス、ロビー・バック氏がマイノリティ高校生相手の講演を行ったあと(これもなかなか楽しいモノだったようですが)ジャーナリストの質問に答えて話題のリテールストアについて語ったそうです。(TechFlashの記事
それによると、私を含めて多くが書き立てたような「Appleのコピーである」というのをまずきっぱりと否定。「AppleがApple Storeをはじめた当時、同社はディストリビューションのチェーンを持っていなかったが、MSはそれを持っているので、MSのストアはカスタマーとの接点を持つことを通じた『ブランド』作りに集中する。」と語っています。また「マスディストリビューションを行うストアではなく限られたハイプロフィールなポイントでの出店を行う」ということです。
もう、突っ込みどころ満載でワクワクしてしまいますが、その前にまず前言を撤回します。MS Storeに「サプライズ」があるかもしれないと書きましたが、やはり「何もなさそうだ」と思います。多分、MS版のSONYビルができるってところでしょう。
それにしても、このバック氏はApple Storeに行ったことがあるのでしょうか?多分行ってないわけではないと思いますがそれはMS幹部の仕事の一環として行っただけで普通のカスタマーとして行ったことがないのでしょう。まず、歴史的認識ですが確かにAppleが自社でリテールをはじめた背景には家電量販店の流通システムにMacを乗せられなかったというのはあるでしょう。しかし、Apple Storeをただの量販店と比較するのは根本的に間違っています。Apple Storeはまさにバック氏が言っているような「ブランド」のお手本であり、同時にカスタマーとのふれあいの場です。売り場もそうですがジニアスバーの存在を忘れてはいけません。そして、Apple Storeの従業員の半分はこのジニアスバー関係の技術者で占められると言われていることも。さらに、マスディストリビューションを行うのでもないのに元Walmartの役員を引き抜いて何がしたいのかもわかりません。それほどハイプロフィールにこだわるのなら、WalmartではなくLVMHからでも誰か引き抜いてくるべきです。
また、カスタマーとのふれあいと強調していますが、これに関してMSほど印象の悪い会社はそうないと思いますし、それはXBOX 360やZuneだけでも明らかなのですが、最大のプロダクツであるWindowsに関しては各ハードメーカーが「防波堤」になってカスタマーリレーションをやってくれているわけです。まあ、だからこそレドモンドは危機感を感じないのでしょうし、UIが全然見当違いな方向におせっかいになっていくのもこのせいなのでしょう。いかなる形でもMSが直接ユーザーの声を聞く場を設けるということであれば、これはWindowsがようやくユーザに対して一歩歩み寄るということを評価すべきなのかもしれません。

Niger:SONITELの通信免許剥奪


Afrique En Ligneの記事ですが、ニジェール政府はSONITELに2001年に付与されたグランドラインの電話システムおよび携帯電話の事業免許を剥奪しました。その理由は予定されていた電話サービスの充実が全く行われてない、ということです。これはグランドラインの電話サービス地域拡大、施設の近代化およびデジタル化を示すそうです。
さて、このSONITELですが名前を見てもわかるように、元々は国営の電話会社でした。これを民営化して、戦略的パートナーとして中国やリビアなどの資本が入ったコンソーシアム、DATAPORTを迎え入れて電話事業のテコ入れを行おうとしたものです。しかし、もともとSONITELは黒字だったわけでもなく、民営化されたあともその赤字体質から抜け出せず、巨額の赤字を計上してしまったわけです。
ニジェールのグランドラインはSONITELの独占ですが、携帯電話についてはすでに門戸が開かれていてCeltelそしてTelecelが事業展開しています。(この2社はブランド名を変えています。現在CeltelはZainブランドでの展開。Telecelは多分Moovブランドでの展開となっていると思います。)SONITELはSahelcomブランドで携帯電話事業を展開していましたがCeltelの参入後はすっかり押されてしまい、大幅に売り上げを落としてしまいました。私がニジェールにいた時丁度その頃だったのですが、最初は私もSahelcomを使っていましたが、知り合いがどんどんCeltelに変えていくので私もCeltelに乗り換えたという経緯があります。なぜなら、同じキャリア同士の通話やSMSは違うキャリアへのそれよりも大幅に安いからです。また、CeltelやTelecelは隣国のブルキナやベナンで事業展開しており、簡単にローミングができたのですが、Sahelcomはこれができないというハンディを背負っていたのです。よって、日本とは違って他国でたくさん事業展開している会社に大きな強みがあるのです。コートジボワールやセネガルではOrange(FranceTelecomの携帯ブランド)がとても強いですし、Orangeはもっと手を広げようとしています。しかし、セネガルのOrangeのSIMをフランスで使うとなぜかOrange FranceでなくBouygue Telecomにローミングされるのは謎ですが・・・
話をSONITELに戻しますが、これはテコ入れの方法を間違ったのと、DATAPORTにしてみれば「とんでもない粗悪品をつかまされた」ということだと思います。セネガルのSENELECも同じですが、これらの「国営企業」はたいがい中身が腐りきっていますし、働く人のモチベーションも非常に低く、特に電話事業のように最新テクノロジーを導入する必要のある分野では使い物にならないことが多いのです。Sonetelの民営化成功はほとんどミラクルと言っていいでしょう。まあ、Sonatelの場合、もともとSONITELほど粗悪でなかったのと、地理的位置が幸いして海底ケーブル接続とインターネットの爆発的普及という時期的な波に乗れたのも幸運だったのですが。
そういう勝機を完璧に逃しそうなのがベナンのOPT/Libercomですね。ここは、SONITELよりもさらにサービスの質が低い。一度潰した方がいいと思えるくらいです。

2009年2月14日土曜日

Africa:News Round Up 2/14


今朝はあまりニュースがないのですが、とりあえず一通りラウンドアップします。

まずRDC&ルワンダ情勢ですが、France24のテレビのニュースでRDC政府軍がフツ軍ゲリラに対して空襲を行い、多数の死亡者が出たということです。他のソースが出て来ないので、未確認情報ということになりますが・・・
そしてJeune Afriqueが伝えるところによると、RDCとルワンダの共同作戦によって少なくとも100名の民間人がフツ族ゲリラによって惨殺されたとHuman Right Watchが発表したそうです。この共同作戦にはMONUCも参加していたということですが、民間人の安全は守られなかったようです。

マダガスカルはラバロマナナ大統領とラジョエリナ氏の直接交渉がはじまったという情報以降、ニュースがありません。また、この首都を覆う不穏な空気に便乗した強盗や泥棒が横行しているようで、警察との衝突で4名が死亡したとAfrik.comが伝えています。それにしても不思議なのは、こういう便乗泥棒とか強盗が出ても死者が出ることはあまりないのですが、マダガスカルの警察は異様に暴力的なのか、日頃平和なのでこういう事態に対応するのが下手なのか、とにかく他国では起こらないようなことがここでは起こるようです。

最後に、ようやくコアビタシオンが成立したジンバブエですが、はたしてうまくいくのか注目です。とにかく政治的な緊張が緩和されただけでも前進ということはできるでしょうが、ここまで徹底的に最悪の事態になっていたら、どんなつまらないことでも前進になります。これも国際社会の反応はまだあまり聞こえてきません。コレラの犠牲者は3400名を超えているということです。
RFI (Radio France International) のプレスレビューをご紹介しておきます。まず、これは首相に就任したツヴァンギライ氏にとって非常に大きな挑戦であるというのが南アベースの新聞では基調となっているようです。RDCのPotentiel紙では、このあまりにも違いすぎる2人のコアビタシオンに疑問を投げかけ、観察するべきとしています。フランスのフィガロ紙も同じく、このコアビタシオンがうまくいくのか疑問を投げかけています。ラ・クロワ紙は基本的人権の遵守を呼びかけ、ジンバブエは直ちに人権NGOに門戸を開くべき、としているそうです。

=UPDATE=
RDC=ルワンダの空爆のニュースがAllAfricaに出ました。これによると、これはRDC=ルワンダの共同作戦による空爆で40名以上のゲリラを殺したということです。また、これに先立ってFDLR(フツ族ゲリラ)はMONUCの基地を襲って飛行機を奪おうとしたと言われています。

2009年2月13日金曜日

MS:Copy Catは止められない


AppleInsiderの記事によると、マイクロソフトがApple Storeのような形態のリテールストア事業進出を計画しているそうです。これはApple Atoreの成功によってAppleの認知度が上がっていることに対抗して、ということです。
また、AppleInsiderはAppleがリテール事業をはじめたとき、経済アナリストがこぞって「Appleは失敗する」と予想したことも取り上げています。チャンネルマーケテイングCorpのコンサルタント、デイビッド・ゴールドスタイン氏は「(Appleにとって)リテールストアを開くことは全くナンセンスだ」と2001年当時述べました。この発言は全く根拠がなかったわけではなく、Appleは97年にランドマーク的エンタテイメントサイバーカフェをオープンする企画を立てましたが、これは日の目を見ずに終わっています。ここでジョブスは当時GAPやJ-CrewのCEOだった、ミッキー・ドレクスラー氏をAppleに迎えます。また、Target(アメリカの安売りチェーン)から、ロン・ジョンソン氏を、GAPからはジョージ・ブランケンシップ氏を次々と引き抜きます。
そして、Appleは今や世界に251店を直営し、1万6千人を雇用し、総売上の25%以上がこれらの直営店からもたらされているのです。
また、忘れてはいけないのは路面店を展開する前にAppleはオンラインの直営ストアをすでに軌道に乗せていました。つまり、これらを通じてカスタマーリレーションのシステムがすでにあったのです。また、小売り価格についてもすでに企業ポリシーを行き渡らせていました。
つまり、Appleはリテールに手を出す前に周到な計画およびステップを踏んでいるのです。
Apple Storeの原型というかお手本みたいなものは、銀座のSONYビルなんかに見ることができますが、あれはリテールストアではなく純粋なショウルームなのです。SONYは後追いで直営店に手を出していますが、噂によると「悲しいくらい人がいない」という結果に終わっています。SONYほどのプロダクトに訴求性があり、製品にファンも多く、ブランドイメージがある企業でもこの結果です。プロダクトの中心があまり普通の人が気にしないソフトウェアで、ブランドイメージも「普通」、Zuneみたいな中途半端な展開しかやってないマイクロソフトがやって成功するわけないと思うのですが、もしかしたら、Appleと同じようなビッグサプライズがあるのかもしれませんね。

Africa:News Round Up 2/12


まず、ルワンダのニュースからです。2/11キガリの新聞はこぞってルワンダとRDCのFDLRに対する共同作戦をとりあげたそうです。これは私も2/9にとりあげていますが、Afrique en Ligneの記事によるとこの共同作戦に先立ち、ポール・カガメとジョゼフ・カビラは米国および英国の仲介によってナイロビの極秘の場所にて会談を持ち、両国の外交関係の正常化と東部コンゴの解決策につき話合ったとルワンダの新聞が書いているそうです。また、CNDPの元指揮官ローラン・ンクンダの身柄はルワンダ政府からコンゴ政府に渡されているということで、今回の共同作戦もその「見返り」なのではないか?と言われているそうです。AllAfricaも百人単位の捕らえられたFDLRのゲリラがコンゴからルワンダに移送されたと伝えています。
両国の外交関係が正常化することはいいことだと思いますが、なにか裏にありそうな感じがあるところが少し引っかかります。

セネガルのワッド大統領が突然「アフリカの連邦政府は2010年の1月に発足する」と突然発表。先日のアフリカ連合の会議ではあまり発言が報道されなかっただけにちょっとびっくりですが・・・これも匂いますね・・・大統領の天下り先???なのでしょうか?(Afrique en Ligneの記事

最後にマダガスカル情勢です。昨日の夕方にフランス協力国務長官を含むOCIインド洋連合の調査団とラバロマナナ大統領が会談、木曜の朝にラジョエリナ氏と会談を行っています(Afrique en Ligneの記事
そして、これらの会談に続き、ラバロマナナ大統領とラジョエリナ氏の直接会談がマダガスカルの権威ある教会の庇護のもと、行われています。(Jeune Afriqueの記事
1つ不思議なのは、昨日のラバロマナナ大統領の政治集会はJeune Afriqueに小さな一枚の写真が載っただけで、France 24をはじめ国際メディアがほとんど取り上げていません。とにかく現状としては会談の結果次第、というところでしょうか。

2009年2月12日木曜日

Telephone:通信衛星が衝突

France 24が伝えるところによると、アメリカの衛星電話Iridium社の通信衛星とロシアの機能していない通信衛星が衝突したということです。この通信衛星は地表から約780kmの軌道上にあり、この高さは他のたくさんの通信衛星や気象衛星などがあるということです。
Iridiumは衛星電話のシステムで通常の通信衛星よりも低い軌道を周回する66の衛星で地表のほぼ全域をカバーする衛星電話のシステムです。今回の衛星は通常の高さの軌道なのでこのIridium電話用のサービス衛星ではないのかもしれません。
このIridiumは私も数回見たことがありますが、ハンドセットは大昔のウォーキートーキーみたいなもので、頭に太くて長くてしかも途中で折れ曲がったアンテナがついています。今はもっと小さなハンドセットが出ているようですが・・・
それで、もちろん屋内では使えず、見晴らしの良い屋外に出ないと使えないし、衛星との同期に結構な時間がかかってあまり実用的なシロモノではありませんでした。しかも、ものすごく高価だったと聞いています。(本体もサービスそのものも)
その数年後、もう少し小型で安価なThrurayaという衛星電話が出ましたが、いずれにしても、通常の携帯電話のローミングサービスの方が手軽で安価だと思います。
アフリカで衛星関係のサービスというと、あとはテレビとインターネットがあります。セネガルではフランスのビバンディグループのCanal Sateliteが入っていて、一番安いプランだと月1000円強でアフリカの各国のテレビが見られるものから、160チャンネルのものまで予算に合わせて見ることができます。これは庶民に手の届く値段で提供できている衛星サービスと言えるでしょう。
しかし、衛星には致命的な欠点が1つあります。それは「天気が悪いと衛星からの電波が届かなくなる」ということです。12ヶ月のうち9ヶ月が乾期のダカールではそれほど不便に感じることはありませんが、雨の多い地方だとストレスがたまりそうです。
衛星インターネットはこれまた非常に高価で、個人で手の出る価格ではありませんし、テレビよりも数倍巨大なアンテナが必要です。海底ケーブルがつながっていないところではまだ衛星サービスがありますが、だんだんグランドラインに取って代わられるでしょう。

Madagascar:大統領の逆襲


マダガスカルのニュースが続きます。今朝、ラジョエリナ氏の陣営は4名の閣僚を任命しました。(Afrik.comの記事)今、マダガスカルには2つの政府があることになり、とてもおかしなことになってきています。
今朝の記事でフランスの協力国務長官がインド洋連合の調査団とともにマダガスカル入りをするとお伝えしましたが、この調査団のメンバーをAfrique En Ligneが伝えています。コモロの元外務大臣、在ベルギー大使のSultan Chouzourが団長を務め、元モーリシャス大統領のカール・オフマン氏、セイシェル大使ジェレミー・ボンヌラム氏、レユニオンからウィルフレッド・ベルトル氏、そしてフランスの協力国務大臣アラン・ジョヤンデ氏が名を連ねています。
そして、本日ラバロマナナ大統領陣営による大きな政治集会がスタジアムで開かれ、3万人を超える支持者を集めたとJeune Afriqueが伝えています。折しもサイクロン、ゲールが近づき悪天候に襲われたにもかかわらず、です。私はラバロマナナ大統領はもっと人気がなくなっていたのかと思っていたのですが意外に強い支持基盤があるようです。
AllAfricaが面白い考察を行っているのですが、ラバロマナナ大統領とラジョエリナ氏のパワーゲームは結局後ろで多額の資金が動く「マネーゲーム」であるというものです。そう考えると確かにいろいろなことに納得がいくようになります。そして、ラジョエリナ氏のこれだけ材料が揃っているにもかかわらず、ラバロマナナ大統領に決定的一打をあたえることができずに努力が空回りしている感じ、もなんとなくうなずけるのです。
そして、今日のラバロマナナ大統領の大集会も。
しかし、これがマネーゲームだとすればなおさら早期決着をつけないと、ジンバブエのようになってしまいます。投資家は足が速いのです。そして権力争いによってチャンスを逃がせば今の世界経済状態から言っても、非常に大きな痛手を負うことになるのではないかと思います。

2009年2月11日水曜日

Madagascar:国際社会の動き


アンタナナリブは一応の平静を取り戻しているようですが、この問題が表面化してからの犠牲者は130名を超え増え続けています。確かにマダガスカルというのは今までこのような暴力的な事件は他の地域に比べて少なかったと言えますし、人々も温厚で平和的なのも事実だと思います。
さて、フランスが協力国務長官ジョヤンデ氏を水曜、つまり本日マダガスカルに派遣すると発表しました。(Afrik.comの記事)これによると、ジョヤンデ氏はインド洋連合(Comission de l'Ocean Indien)の調査団と同時にマダガスカル入りをするようです。(Jeune Afriqueの記事
Afrique En Ligneによると、フランス政府はこの問題に対して、「対話のみが平和的解決への道である」と考えているようです。これはフランス外務省の報道官が火曜日に発表した談話です。
しかし、Jeune Afriqueによるとラジョエリナ氏は「ラバロマナナ大統領がいなくなるまであきらめない」と非常に明確な姿勢を表明しています。私の個人的な印象ですがラジョエリナ氏を動かしているのは政治的野心ではない気がするのです。むしろラバロマナナ大統領による悪政をストップすることを目的としているのではないか、と思います。
土曜日の大きな事件で影が薄れていますが2/6にAfrik.comが伝えているのはラバロマナナ大統領による公金横領疑惑で、世銀およびIMFがマダガスカルへの融資をストップする、という記事です。つまりラバロマナナ政権はすでに国際社会の信用を失っていたということです。
このような局面で、アンタナナリブには国連、AUアフリカ連合、フランス、そしてインド洋連合の特使が入って問題解決の道を模索することになるのです。これは非常に微妙かつ厳しい選択を迫られる話し合いになるでしょう。
フランスの言っているように「両者の話し合いにより平和的解決」というのは非常に難しい気がします。まずラバロマナナ大統領にとっては非常に分の悪いものになることは避けられません。国連は彼の味方をすることはないですし、ラジョエリナ氏も彼を権力の座から引き下ろすという部分については譲歩しそうにありません。また、銃を向けられた国民も彼を支持することはないと思います。よって、話し合いの中心はラバロマナナをどのようにソフトランディングさせるか?ということになると思います。この政権をなんとか存続させてもその先には「崩壊」しかないのです。フランスなどがラバロマナナを平和的に権力の明け渡しを行うよう何を材料に説得するのか、注目していきたいと思います。

2009年2月10日火曜日

Africa:News Round Up 2/9


今朝の記事を書いてからかなりの数のニュースが入ってきたので軽くラウンドアップします。ちなみにここ数日ダカールは強風が吹き荒れ、異常に寒かったのですが、今日は風もやみ、日なたに出ると暑いくらいの陽気でした。(ふとんを干しました。)

まず、緊張続くマダガスカルの続報からです。AUアフリカ連合がマダガスカルに急使を派遣したとJeune Afriqueが伝えています。この急使は元コートジボワール外相アマラ・エッシー氏ということです。また、今朝辞任した防衛相の後任が閣僚会議で決定され、マミ・ラナイボニアリボ海軍中将(vice-amiral)が防衛相に就任しました。この人物は大統領の軍官房長をつとめていたということです。(Jeune Afriqueより)All Africaによると、民生局アナラマンガテレビに所属するアンド・ラトボニリナ氏(カメラマン25歳)がこのデモを取材中に銃弾を受け、死亡したということです。ここでは割愛しますが記事は非常に生々しいディテールまで伝えています。マダガスカルの最後にBBCの記事が一応のまとめを行っています。この中で注目したいのは今回このデモの舞台となった大統領府前の広場がマダガスカル人から「レッドゾーン」と呼ばれ、大統領の権威の象徴として常日頃から非常に厳重に警備されている場所であった、というくだりです。つまり、ラジョエリナ氏があえてこの場所を集会に選んだということはラバロマナナ大統領に対する明らかな挑発行為だったと言えるのです。

RDC-ルワンダ情勢について、All Africaが中央アフリカから面白いインタビューを掲載しています。インタビューを受けたのはオープンソサエティインスティテュートのMasoka Hubert Tshiswaka氏。これによると、今回のルワンダによるンクンダ拘束にはウラがあるということです。ルワンダ政府はンクンダを捕らえると同時にRDC政府とFDLA(フツ族の武装グループ)と共闘するという合意文書を交わしているというのです。つまりこのためにはンクンダの存在が邪魔になった・・・だからンクンダを拘束したというわけです。よって、ンクンダの拘束はこの地域にて戦闘が終了したということではなく、戦う相手が変わっただけということらしいのです。むしろこの地域にルワンダの正規軍が流入して戦闘はさらに激しくなる可能性があるのです。ということで、この地に平和が訪れるのはまだまだ先・・・ということのようです。

リベリアからは明るいニュースが届いています。この内戦に荒らされた国はゆっくりと昔の「ノーマル・デイズ」を取り戻しつつあるとAll Africaが伝えています。中でも世銀が出資し、中国の建設会社が行っている道路建設が復興のシンボルとなっているそうです。

東アフリカはこれまで周回する海底ケーブルがなく、通信事情がよくなかったのですが、紅海からインド洋を経て東アフリカ海岸に到達する海底光ケーブルがもうすぐ接続されるそうです。(All Africaの記事

最後に、ほとんどネタとしか思えないのですが、セネガルの新聞のトップ記事はワッド大統領が「私はフリーメーソンだった」というものです・・・(Le Figaroの記事

2009年2月9日月曜日

Madagascar:追悼の日


マダガスカルのアンタタナリブは病院を除いて平穏な日曜だったようですが、まだまだ緊張は続くようです。まず、土曜日の争乱ですが、憲兵隊の公式発表では28名死亡となっているのですが、病院からの情報だと40名を超えているということで、数字に隔たりがあります。ラジョエリナ氏は本日月曜日を「追悼の日とする」と発表しています。また国連事務総長の名代とラジョエリナ氏とも会談が予定されているということです。また、国連はこの市民殺害の責任者が裁かれることを要求しています。そして、今朝マダガスカル防衛大臣のセシル・マノロハンタ女史が辞任しました。ラジオAntsiveに同女史が語ったところによると、「政府としては、警護隊(Force de l'ordre)は市民を守ることになっていた。」ということで「これらのことが起こってしまった以上、この政府への参加をやめることを決意した」ということです。(詳しくはFrance 24の仏語の記事。)
また、AUアフリカ連合も特使を派遣するようです。全般的に詳しく書いてあるのはRFIの記事だと思います。
BBCの記事では、ラジョエリナ氏が抗議行動をまだまだ続けると報じています。
テレビのFrance24のニュースでは「警護隊は『パニックに陥って市民に発砲した』」と言っているのですが、映像を見る限りこれは攻撃命令を受けて行動しているようにしか見えません。そもそも、そんなパニックに陥る無能な兵士が大統領の警護に当たっているとしたらこれはまた別の意味で問題です。また、通常のデモ対策の場合、警察は実弾ではなく催涙弾などを使いますし、空砲や空に向けて撃つのが普通です。今回のように市民に直接実弾を撃ち込むのは上官の命令を受けているはずです。それに、防衛大臣の突然の辞任。これは政府の中に亀裂があることを意味していると思いますし、マノロハンタ女史は自分の意見が全く聞き入れられなかったと主張しているに等しい。
この一連の事件を見ていて思い出すのは、なんとも苦々しいのですが「フランス大革命」なのです。ラジョエリナ氏の罷免は大蔵大臣ネッケル氏の罷免を思わせますし、市民に対する実弾での攻撃もまさにフランス革命において王家の軍が市民に対して発砲したのと同じです。
今マダガスカルで起きていることはある意味ギニアの軍事(しかし無血)クーデターよりもはるかにひどいことだと思います。
そして、これはラバロマナナ大統領がその座を降りるまで続くのではないか、と予想されます。なぜか。もちろんデモを指揮したラジョエリナ氏に全く落ち度がなかったかといえばそうではないでしょう。しかし、大統領という職にあるものが国民に対して銃弾を放つという行為はどんなことをしても許されることではないからです。彼は大統領の椅子に座る資格を失った、あるいはそれを自分から放棄したと言えます。独裁国家において、大統領が秘密警察などを使って政敵を逮捕したり拷問したりすることはよくあることですが、このように市民を無差別に殺害するということはあまりないのです。また、この問題は長引けばムガベ化することも心配です。

OLPC:ネグロポンテはあきらめない


カリフォルニアのモンテレイで開催されているTED (Technology, Entertainment, Design) Conferenceを舞台に、OLPCプロジェクトのニコラス・ネグロポンテ氏が新しいOLPCビジョンを発表しています。
OLPCプロジェクトを巡っては最近はBuy1 Give1プログラムの不振やプロジェクト要員のレイオフや減給など、プロジェクトの行く末が危ぶまれるようなニュースしか聞こえてきませんでした。また、プロジェクトそのものも、ほとんど分解されてしまって、ハードの中心をなすスクリーンはPixel Qiという別会社になりSugar OSについてはSugar Labに引き継がれました。そしてOLPCプロジェクトはすでに完成しているXOラップトップのディストリビューションと新しいOLPCのコンセプトを作り、それが昨年エレガントにソフィスティケートされたNintendo DSのようなデユアルスクリーンのコンセプトとして発表されたわけです。
今回のネグロポンテ氏の発表した新しいOLPCビジョンとは、これらの動きをさらに押し進めた「オープンソースハードウェア」というもので、誰でもXOをコピーして生産できるようにするということらしいです。しかしGIZMODOが分析しているようにこれはオープンソースというよりは「XO Laptopのライセンス生産」に近いと言えるのかもしれません。CNETはさらにビル・ゲイツ氏の「OLPCはやり方を誤った」という談話を引用し、言ってみれば遅すぎたコマーシャルベースへの解放を指摘しています。しかし、ネグロポンテ氏の言う通り、XOというコンセプトそして実機を作ることをしなかったなら多分現在の花盛りなNetbookの氾濫はなかった、これは事実だと思います。そして、現在のNetbookがXOの抱えているのと同じ問題を抱えているのも事実なのです。XOは大人が遊びすぎて、表面だけ子供用にしたSugarを載せてみたり、Win XPを載せてみたり、言ってみれば子供達が何をするマシンなのか、そのあたりがあいまいになってしまった。
今のNetbookも同じです。XP、Vista、XFCE、Moblinを載せたものがあり、はてはMac OSX Leopardを入れる方法まで紹介されているのです。しかし、そんなことはほとんど必要ない、これは大人の遊びなのです。OLPCに必要だったのはDSのように割り切った使い方をする機能だったのではないかと思います。その方がかえって途上国政府やパートナーの理解も得やすかったと思います。
WIREDにXOの新しい使い方としてE-Bookリーダとして使うことが提案されています。これも、やたら「あれもできるこれもできる」わけのわかんない機械ではなく、1つの明確なしっかりした使い方をするという点ではDSに似たものがあります。ともかく、ネグロポンテ氏はまだまだOLPCプロジェクトをやる気満々なようです。

2009年2月8日日曜日

Madagascar:首都で30名近い死者


2/7首都アンタタナリブで先日追いやられた前市長の支持者達がデモ、集会を大統領府前でしたところ、大統領の警護隊と衝突、30名近い死者のでる惨事となっています。前市長ラジョエリナ氏は警察に対し、大統領警護隊から市民を守るよう要請するなど、わけのわからない展開になってきています。この市民に発砲した大統領の警護隊は外国の傭兵であるという報道もあります。
この事件を受け、ラバロマナナ大統領は国営テレビで国民に対し「落ち着いて」「秩序に従う」よう促しました。(この報道の中ではデモ側の死者は警察によって倒されたことになっています。)
ということで、この「食い違い」に関してラジョエリナ氏の支持者がかみつき、ラジョエリナ氏が所有するテレビ局Vivaはラバロマナナ大統領はアンタタナリブの北西600kmに位置する港湾都市マハジャンガに逃げ出したと報道したそうです。
この今日のラジョエリナ氏の「集会」は、暫定政府を発足させ、ロインデフォ氏を首相に任命するというものだったようです。
とにかく、大統領側もラジョエリナ氏側もお互いに距離をおいたまま、勝手な主張合戦を繰り広げているようにしか見えないのですが、その間に市民が巻き込まれて犠牲になっているのが大変遺憾に思います。
JeuneAfriqueのマダガスカルページ

=UPDATE=
France 24の生々しい映像が入ってきました。
これを見ると武装した連中が丸腰の市民に対して実弾を使ったようです。こんなことは独裁国家であってもあってはいけないことです。ある意味ギニアのクーデターなんか問題にならないくらいにひどい。国際社会は早急に対応を行うべきです。現にアメリカはすでに遺憾を表明しているようですが・・・

2009年2月7日土曜日

Apple:Apple StoreでFacebookが使えない?


そういう話が所々でささやかれています。(tinycombの記事、CNETの検証記事
実は私も同じような経験をしました。Apple Storeは出先でちょっと立ち寄って調べものをしたり(どこかに行く道順とか)、素早くメールチェックをするには絶好の場所です。そのとき私はコロンブスサークル近くのCOMPUSAを探していたのですが、見つからないので5th Ave.のApple Storeで調べようと思ったのです。そして、空いているMacBookを見つけてGoogleで調べようとしました。そうすると、ツールバーのGoogle検索フィールドがない。おや?と思いつつURLフィールドに直接google.comと打ち込むとApple store 5th Ave.のページに転送されました。もう一度やっても同じでした。仕方ないので、また空いてるMacを見つけたのですが、それでも同じでした。3台目でやっとSafariのツールバーが普通のMacに出会い、検索フィールドにCOMPUSAと入れると、普通に検索できました。
一体、どのように細工しているかはわかりませんがApple Store 5th Aveの相当数のMacが外部に接続できないようになっているのだと思います。ということで、遮断されているのはFacebookだけではないと思います。Apple Storeは前からMy spaceへのアクセスを遮断していたそうですが・・・
ちなみにSohoの店では全部チェックしたわけではないので、真偽のほどは不明ですが、普通に使えました。
W14thの店はわかりません。

Senegal:ゴレ島の「記憶」が死去


JeuneAfriqueが伝えるところによると、セネガル文化省は金曜にブーバカー・ジョゼフ・ンジャイ氏がダカールのプランシパル病院で息をひきとったと発表しました。この人は、ゴレ島(世界文化遺産)にある「奴隷の家(Maison des esclaves)」で、40年間Conservateur(いわゆる館長)として、ゴレ島の記憶を語り継いできた人です。私も2度ほどこの人の話を奴隷の家で聞いたことがありますが、非常に生々しいことをかなりあっさりと、しかしドラマチックな口調で非常に丁寧に説明してくれたのです。このスタイルはフランスには多いです。大型の美術館などではすでにイヤホンにつながった電子ガイドになってしまっていますが、この前訪れたカタコンブなどではやはりガイドの人がいてその人の説明を聞きながら回るのです。ベナンのアボメ王宮やウィダの博物館も同じで、ここなどはガイドの説明を聞かないとその魅力は半減してしまいます。つまり、ガイドをする人の話術だとか、人となりが訪問の印象を大きく左右するのです。ゴレ島の奴隷の家は考えるよりずっと小さく、こんな狭いところにそんなに多くの人が閉じ込められていたのか、とまずそれに驚きますし、周囲の家にはまだ人が住んで暮らしているのです。そして暗い裸電球で照らされたホラー映画のような奴隷の家の外にはさんさんと陽光が降り注ぎ、色とりどりのブーゲンビリアが咲き乱れ、地中海風の瀟洒な村のような全然別のゴレ島の顔がある。この対比がなぜかぞっとするのです。しかし、ゴレ島は実はそれほど大規模な奴隷の積み出し港ではなかったと言われています。人数としてはむしろ「奴隷海岸」と呼ばれていたベナンのウィダの方がずっと多いのでしょう。
話を戻しますが、ンジャイ氏は1922年にルフィスクで生まれ、セネガル兵として第二次世界大戦およびインドシナ戦争に参戦したそうです。40年間の奴隷の家勤務中に、ネルソン・マンデーラ氏、ビル・クリントン氏、ウフェット・ボワニ氏、ヨハネ・パウロ2世などの著名人を案内しました。享年86歳。ご冥福を祈ります。

2009年2月6日金曜日

Africa:News Round Up 2/6


今年のダカールは異様に寒く、また風が強いので体感温度がさらに下がって長袖が手放せません。

さて、エチオピアで開かれていたAU会議は閉幕しましたが、最後の最後にカダフィ大佐がとんでもないことを言い出しています。BBCが伝えているところによると、「アフリカの政党は民族ベースになっており、それが政治の民族化を産み、血だらけになっている。アフリカにとって最良のモデルは我がリビアであり、複数政党は許されるべきでない」というのがカダフィ発言の骨子だそうです。
彼が暖めて発表した「AUをアフリカの連邦政府に成長させる」というアイデアは他の多くの国から「無駄な官僚組織を増やすだけ」という批判を浴び、あっさりと頓挫したわけですが、このカダフィ大佐の「民主主義観」を見ると、確かにUSAfというのは多分に危険なモノだと言わざるを得ないでしょう。もちろん、カダフィ発言の「民族主義の台頭」「政治が民族主義に牛耳られている」というのはある意味本当だと思います。ルワンダを例に挙げるまでもなく、アフリカにおいて民族抗争が絶えたことはないのです。しかし、そこから「だから独裁が正しいのだ」という結論に持っていくのはとんでもないことです。そもそもUSAf構想というのは根っこの部分に堅牢な本当の民主主義があってはじめて成立するもので、連邦制と独裁国家ほどコンセプトとして遠いものはない。これから1年AUがこのような民主主義の皮をかぶった独裁者に牛耳られると思うと少し心配です。

ニジェールの議会は基礎教育省の公金横領疑惑に関連して共和国検察官から提議された3人の議員に対する訴追免除特権剥奪を否決しました。なんか、怪しい話です。ブルキナの話でも書きましたが基礎教育はここ数年で多額の資金が流れ込んでいる分野です。そして、ニジェールでは援助協調と援助の効率化の名の下、複数のドナーが資金を出し合ってこれをニジェール政府が管理するという新しい方法を計画していました。そういうところでこのような疑惑が出てくるというのは「やはりこの方法はダメ」ということになりそうな気がします。(Afrik.comの記事

フランス外相のベルナール・クシュナー氏の公私混同疑惑も長引きそうな気配です。ミッテラン元大統領の例を挙げるまでもなく、フランスの政治家にはアフリカと関わりあいの深い人物が結構います。(Jeune Afriqueの記事

AllAfricaによると、サブスクリプションベースでナイジェリアの通信会社が南アベースのそれを凌駕したということです。

AU会合においてIMFがアフリカの各政府に「バランスシートをしっかりモニターするように」呼びかけました。小学生の「小遣い帳をつけなさい!」みたいな感じですが、実際バランスシートが信じられないようなことになってる国が多いのと、これに関しては日本をはじめとしてあまり先進国もよいお手本になっていないというところが何とも言えません。「ないカネは使うな!」それと「捕らぬ狸の皮算用をするな!」これは健全な経営における鉄則です。(AllAfricaの記事

2009年2月5日木曜日

Senegal:政治のバレエ


セネガルの政治シーンではあいかわらず、「ワッド劇場」が続いています。しかし、心なしか最近ワッド大統領も弱気な気がします。彼はセネガルの経済が世界経済に開かれるよう多大な努力をしてきましたが、それは同時に今回のような世界同時不況の影響をまともにかぶることになったのかもしれません。
まず、AFPが伝えるところによると、ワッド大統領は「現在身柄を引き取っている前チャド大統領のヒセン・ハブレをAUに引き渡す」としています。彼が言うにはハブレの裁判に対して国際社会が何の努力もしていないということ。そして、「セネガルはハブレの裁判に対して資金提供をするつもりはないと最初から言っていた」としています。しかし、AUは国としての実態を持たないので、ハブレの身柄は実質的には「自由の身」になってしまうということです。しかしながら、ワッド大統領はこれがカネの問題であることを隠そうともしていません。もちろん、ハブレの身柄を引き受け、その裁判を行うとなればかなりの資金が必要になる、これは正しい。しかし、昨今のセネガルの動きを見ると、この国がとんでもない借金まみれになっていてもうにっちもさっちも行かない状態であること、キャッシュを引き出すどの引き出しももう使い尽くしていることは明らかなのです。ワッドがこのように「人権カード」を切るとしたら・・・最悪アイスランドみたいなことになるかもしれません。
さて、ワッド劇場は国内でも続いています。それはワッドの後継者選びで、先日ワッドの息子カリムはダカール市長への立候補を発表。これを受けて、「やはりカリムか?」「これはカリムの政界入りの第一歩」と新聞がこぞって書き立てました。これを受けて、大統領は「カリムの選挙支援はしない」と言ったり、今度はRFIのインタビューに答えて直接後継者選びに言及し、「私は常に後継者を外部に探してきた」とイドリッサ・セックとマッキー・サールの名前をあげました。しかし、不幸なことにこの2人はどちらも首相の座につきながら短期間で辞任、そのあとはなんらかの理由で逮捕されたりしています。最近ではマッキー・サールがガボンのボンゴ大統領から資金提供を受けていたという話が新聞を賑わし、サール氏はこれを全否定しています。(Afrik.comの記事
大統領選挙は2012年。82歳のワッドはもう出馬しないでしょうし、この年がセネガルの民主主義にとって次の試練となることは間違いありません。

=おまけ=
ロイターUKが伝えるところによると、セネガル政府は最高級ホテルの1つMeridien President (Starwood Hotels & Resortsグループ)の入るKing Fahd Complexeを売却するそうです。

2009年2月4日水曜日

アフリカでネットカフェをやる意味


私がここでネットカフェをやろうと思った直接的動機は、ここでのネットカフェ事情があまりにもひどいからでした。セネガルは他のアフリカの国に比べたらまだマシな方なのですが、他の国などでは10年くらい昔に28Kのモデムで遅いサイトをロードしたのと同じ感じなのです。今はメジャーなWebメールでもたいていJavascriptやFlashなどが組み込んであって以前に比べて格段に重くなっています。アフリカの場合、プロバイダのバックボーンの増強がそれに追いついていないのが現状で、だから遅いままなのです。1ページをロードするのに数分というのはザラ。
セネガルに帰ってきた当初もインターネットの契約をするまでは近所のネットカフェに行っていましたが、まあまあ見られるものの、送信に失敗したり、とてもストレスフルな体験なのです。また、日本語は書けないどころか読めないのもザラにあります。もちろん、ダカールのネットカフェはその当時ですでに価格破壊が始まっていて、安いところだと1時間50円、ちょっと高くて60円という値段でしたが・・・
だから、「こんなのはインターネットではない!自分の考えるネット環境を提供しよう。」と思い立ったわけです。CYVOGUEではWebメールとしてG MailもYahoo! Mailもロードは数秒ですし、YouTubeも視聴できます。(日本などに比べればロードに時間はかかりますが)また、Google Earthで地球探検もでき、Skypeでビデオチャットなど、ほとんどすべての最新のインターネット体験が可能です。こういうレベルのネット環境を要求する人のためのネットカフェなのです。
しかし、私が何か特殊な細工をしているわけではありません。ISP契約はほとんどのネットカフェが使っているのと同じ接続環境です。
ではCYVOGUEは何が違うのでしょうか?
他のネットカフェが遅い理由はいくつかあります。
1. コンピュータが古い。マシンスペックが低い。OSが古い。
2. さらにネットスピードを遅くするアンチウイルスが入っている。
3. CyberCafe Proなどのキオスクモードになっている。
4. P2Pソフトを使いまくっている。
ここらあたりのネットカフェで使っているマシンはたいがいがP3やP4のマシンでひどいところだとRAM 128MBでWin 2000とかです。ちょっと高いところでもWin XPでRAM512MBくらい。CYVOGUEは最もスペックの低いマシンでもIntel Core Solo 1.5GHz, RAM 1.25GB、MacOS X Leopardで、ハイスペックのマシンはCore Duo 1.66GHZ, RAM 2GBというスペックですから、マシンの基本スペックそのものが自転車と車くらい違います。またMac OSXは基本的にアンチウイルスが不要ですからその分ネットに余分なトラフィックが生じず、接続スピードが上がります。また、キオスクモードになっているのはコンピュータではないと考えているので、CYVOGUEのマシンは普通にコンピュータとしての使い方ができます。しかし、ソフトのインストールは管理用パスワードがないと入れられないようになっています。他のネットカフェでCyberCafe Proを使っていないところは逆にアドミンアカウントしか作っていないところが多く、ソフトはインストールし放題、ゴミだらけ、ウイルスとワームの巣窟となっているのです。USBメモリーなど、客の持ってきたものはたいがいがウイルスやワームを持っています。(Macには基本的に伝染しませんが)また、ソフトウエアのアップデートは随時行って最新のものにしていますし、1週間に一度は定期メインテナンスとクリーニングを行っています。
これが、私の考えるインターネット環境であり、ネットカフェの最低限のクオリティなのです。
1時間100円(500FCFA)という価格設定は、ここの標準から言えば高い方だと思います。しかし、先進国でWiFi接続をしようとするとたいてい1時間5ドルとか高いところだと12ユーロとか取るのです。それに比べれば、CYVOGUEの価格は安いと思いますし、ギリギリの価格設定でもあります。時々「高級ネットカフェですね」とも言われるのですが、私自身は「高級」とは考えていません。ラグジュアリーというよりはユーザフレンドリーであること、いるのが心地よい空間であること、楽しく快適なネットを楽しめることを心がけています。

Africa:News Round Up 2/3


カメルーンの話題です。
All AfricaAfrik.comなどがカメルーンで政治的緊張感が高まっていることを伝えています。野党SDFのジョン・フル・ンディ氏が強い調子で現大統領ポール・ビヤ氏の与党RDPCの政策を批判、「選挙の実施をできる限り阻止する」としています。また、選挙委員会ELECAMというのが選ばれて、憲法のみにのっとり、選挙プロセスを行っていくことになっているのですが、この選出されたELECAM委員の宣誓式が最高裁判所で行われた際、米国、英国、カナダ、EU代表をはじめとする外交官がこの宣誓式への出席をボイコットしたそうです。米国大使館の報道官によると「この委員達が正当な選挙プロセスを行うとは考えられない。カメルーンの民主プロセスを進行するためなら、協力するのだが」と述べています。ということでカメルーンの選挙は大荒れになることが予想されます。

次にベナンの話題です。2008年は全西アフリカ的に豊かな降雨に恵まれ、大豊作を記録しました。ベナンもその例外ではなく、大豊作だったのですが、ひどい道路状況と市場の整備不全によって、農民はこの豊作の恩恵をあまり受けられなかったと、AllAfricaが伝えています。確かに私が昨年夏にベナンに行ったときもコトヌーボイコンというニジェールまで北上するメインの道路がひどい状態でした。そしてこの道を避けるため多くの車がよりトーゴ寄りの道を迂回していました。これでは農作物を運ぶのもままならないでしょう。

現在エチオピアで開かれているAUアフリカ連合の会議のことはすでにお伝えしましたが、今年1年の議長としてリビアのカダフィ師が選出されました。AU議長というのは地域持ち回り制になっていて、今年は北アフリカだったということです。またAfrik.comが伝えるところによると、アフリカ連合はジンバブエの連立政権発足を受けて、国際社会がジンバブエに課している罰則を解くよう要請しました。ただ、多分英国はそれほど簡単にはこれを受け入れないでしょうし、アメリカそしてEUもそれに同調するのではないでしょうか。

コートジボワールですが、武装グループの非武装化プロセスがはじまったとRFIが伝えています。(Afrik.comの記事)これは一種の選挙の準備で、バグボ大統領もようやく重い重い腰を上げようとしているのかもしれません。その一方、北西部マンでは武装グループの衝突があり、3名死亡したとJeune Afriqueが伝えています。一方を進めようとすれば、一方で足を引っ張り・・・なかなか前に進めない状態のようです。

全世界の雇用不安の波はアフリカにも押し寄せるとILOが警告しています。これは主にアフリカの中でも産業構造が発達した例えば南アやナイジェリアなどを襲うのではないかと見ていたのですが、セネガルなどのインフォーマルセクターが非常に大きい国にも案外早く影響が出てきているように思います。

速報です。マダガスカルのアンタタナリブ市長は大統領に対し反旗を翻し、大統領の罷免を要求していましたが、今度は逆にクビにされてしまった、とBBCが伝えています。この、「言葉だけのクーデター」これだけで収まるのでしょうか?多分、そうはならない気がします。市民の気性にもよるのでしょうが、大統領は警察権力などを使って反乱分子を押さえ込もうとしています。これは最も民衆に嫌われる手法で、幸運にもこれで一旦は押さえ込んだとしても、民衆レベルの不満はさらに大きくなってくすぶるばかりです。

JeuneAfriqueが伝えるところによると、ニジェールで誘拐された国連特使のカナダ人失踪に関し、カナダがマリ北部に調査団を派遣したということです。この問題はニジェール、マリと2国にまたがった問題に発展しそうです。

2009年2月2日月曜日

Apple:MacOS Xのシェアが10%へ


9to5macの記事より。
2009年1月の統計でMacOS Xのマーケットシェアが9.93%に達しているそうです。そしてiPhoneは0.48%になり、この2つをあわせたOS Xのシェアは10%を超えました。昨年3月の時点ではこの2つを合わせても7.5%だったのでかなり急速な伸びを見せています。またLinuxも0.61%→0.85%と微増しており、これはNetBookおよびAndroidの伸びだと考えられます。シェアを奪われたのは言うまでもなくWindowsで91.57%→88.26%となっています。
また、iPhoneの伸びが鈍化しているのに対し、iPod Touchが急速に売れ出したようです。これは多分iPhoneの2年間契約というのがかなり重いというのと、スマートフォンよりもPodやゲーム機能が欲しいという層も多くなっているということでしょう。これはApp Storeの大きな功績で、iPod Touchという「生態系」の構築にAppleがまんまと成功した、という証左だと思います。
Macのシェアの伸びはiPhoneやTouchからのキックバックというより、新型MacBookなどの魅力的なプロダクトをリリースできたことがカギでしょう。
ところで、先日MacBook Airのメインテナンスの依頼があり、この機械にはじめて店頭以外で触れることができたのですが、はっきり言って欲しくなっちゃいました。これは本当にいいです。もちろん、MacBookのように誰にでもおすすめできるものではありませんが、すでにMacを持っている人が2台目として考えるならものすごく魅力的な選択肢だと思います。まず軽いのに驚くほどしっかりしていて堅牢感があり、また持った時に本当に手にしっくりと来て、気持ちいいです。でも、SuperDriveはマストですね。これがないと困ることになります。そして、このSuperDriveが結構重かったりします。
また、新型MacBookと比べると、液晶周りのデザインがやはり古いことに気づきます。しかしAirのマイクがiSightのすぐそばにあるのに対してMacBookのマイクはキーボード左上にあるので、ただガラスを嵌めればいいということにはならない。あと、私の触ったのはHDDのモデルですが、ここまでくるとやはりSSDが欲しくなりますね。安くなっていることだし。

Africa:News Round Up 2/2


週明けのNews Round Upです。

まずは、やはり混乱の続くマダガスカル情勢ですが、アンタタナリブ市長が「口先のクーデター」を煽動し、大統領に半旗を翻しています。しかも、7年前に現大統領が政権を掌握したときの彼の役職がやはりアンタタナリブ市長だったということで、ギニアに引き続き「歴史は繰り返す」パターンを地でいっています。この一種の「先祖返り」みたいなブームは非常に心配です。すべてが「歴史の必然」みたいな感じで正当化されてしまうとどういうことが起きるのか考えてみれば良いでしょう。そんなにしょっちゅう先祖返りを起こしていたら、人間性というものは一歩たりとも前に進むことはないのです。そして、ギニアにしてもマダガスカルにしても、これらの先祖返りが示唆するもの、それは新しい政権も実は倒された政権と「変わらない」ということなのだということを、やってる主体が気づいていないことにあると思います。もちろん、それを断じてしまうのは時期尚早であるというのも正しいですが、発足当時からそういう「含み」を持たせてしまうというところが問題なのであって、これは民主的な政権交代を成し遂げた例えばベナンとかガーナ等の安定度とは比べ物にならないと思います。それにしても、ここまで民衆レベルでの不満が高まっていたことを、外交筋とか協力関係者は察知していなかったのでしょうか?

次にジンバブエですが、コレラの犠牲者は3000人を突破、ついにムガベ大統領の俺様主義一直線にも陰りが見え、野党の代表と連立政権を目指すということですが、これに対してはメディアもこぞって「歓迎するものの・・・」(ここから先オフレコ)「多分、これはポーズ」というトーンです。しかも、暴落を続けるばかりのジンバブエドルはついに印刷さえもストップ。市井では米ドルが通貨として流通しているとのことです。しかし、ここまで破壊の限りを尽くして、それで連立とはどこまでいいかげんなのでしょうか。ムガベがしっかりいなくならない限り、この国の情勢が上を向くことはないと思います。

先週末よりエチオピアのアディスアババでAUアフリカ連合の定例会が開催され、各国の首脳が集まっています。しかし、モーリタニアとギニアは席を剥奪されたままで、しかもなんだかカダフィ師とナイジェリアのヤル・アルダ大統領との間に無言のキナ臭い主導権争いみたいな空気があって、ちょっと気になります。例のUnited States of Africa構想もこれだけ政治的にゴタゴタした国が増えると、「それどころではない」という気がします。

あと、先日から問題になっているようですが、セネガルやナイジェリアなどで当局による同性愛者バッシングが強くなっているということです。特にセネガルのケースは、逮捕されたのがエイズ対策関係者だということで、困ったことになっています。フランスをはじめEU、そして国際機関が動いています。これらはデリケートな人権問題がからんできますが、これはセネガルなど、民主的と言われているアフリカの「アキレス腱」とも言える場所でしょう。そして、被差別者あるいはその経験者がさらにその中でマイノリティを差別するという最も醜悪な現象となるわけで、これを容認したら、万人の平等という近代憲法の精神そのものを翻し、多数派による少数派弾圧を容認し助長してしまうという論理的な崩壊につながってしまいます。これもまた一種の「先祖返り」とも言えます。セネガルもナイジェリアも、ヨーロッパなどが持っているこの危機感を感じていないようでシラっとしていますが、これは「内政の問題だ」などとシラを切っているとあとで本当に高い代償を払うことになると思います。